ミリオンズ(2004) UK/US <Millions> [film reviews]
" I don't know what it is, but Scotland is a great place to make a film" (The Herald Saturday 7th May 2005) 「なにがそう思わせるのか解らないが、スコットランドは映画制作において素晴らしい土地だ」という趣旨のことを述べた上記の言葉は、『トレインスポッティング』の監督ダニー・ボイルのものです。
映画産業発展の為に設立されたばかりの"Glasgow Film Fund (グラスゴー映画基金)" を、その頃まだ無名に近かった彼と製作者アンドリュー・マクドナルドの『シャロウ・グレイブ』が獲得し、作品の思がけないヒットからGlasgow Film Fund (GFF)も好スタートをきることになりました。
2.2億円の作品予算、GFFが0.3億円、作品製作の為にグラスゴーにて費やされた資金が0.9億円、投資に対するバックが0.8億円、261.3%にもなりました。続く『トレスポ』は、Channel 4というイギリスのTV会社が単独出資した為、2002年に終了したGlFF(今は別のFundがあります)の最大の利益は『シャロウ・グレイブ』があげたことになります。
スコットランド(又はグラスゴー)をポピュラーにしてくれた彼も、ハリウッドへ行き不発弾連発。イギリスに戻っての『28日後...』も、マンチェスター郊外に舞台を移した辺りからフニャフニャになってしまったし、今作『ミリオンズ』も監督の故郷マンチェスターを舞台に、誰の為に作った映画なのかよくわからないモノになっています。
イギリスの通貨がポンドからユーロに変わる12日前。ママを亡くしたばかりのダミアン(8歳)が線路沿いに作ったダンボールの隠れ家に、22万ポンド入りのバッグが降ってくる。兄アンソニー(10歳)は突然降って沸いた大金を使い切ろうとするが、信心深いダミアンは困った人のために役立てようとする。(amazon.co.jpより)
実は監督が、彼の子供たちに観せられる映画を作りたいからと撮ったこの作品。 ファンタジーかと思ったら、急に監督得意のブラック系に突っ込んだり、又戻ってきて主人公ダミアンの天真爛漫な姿をみせつけたりと、子供向けとも大人向けともいえない作風に少し困惑した。純真なダミアンに教えられることは多いし、頭脳派のアンソニーとの凸凹コンビも悪くない。
大金に踊らされる大人達の姿も皮肉は利いているけれど、イギリス人の皮肉度からすると捻りがなさすぎるかなと思いましtあ。謎解きも奇跡も都合良く練られた感があって、"心が温まりました..." という感想を述べてる方が多い中、特に驚きもなく終わってしまった感じです。大金にまつわるストーリーなら、『シャロウ・グレイブ』のほうがよっぽどいいです。
ダニー・ボイルらしい映像や音楽は一応残っているけれど、ストーリーがいかんせん『トレスポ』レベルにない為、躍動感はゼロに近くて残念でした。監督はもう一度、スコットランドに戻ってきてみては? って思います。監督もいったように、"Scotland is a great place to make a film" です! 決して、『トレスポ2』が観たいわけじゃないけれどね。
遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
先ほど元旦の記事(2006年のベスト3)も読ませていただきましたが、たくさんの映画を観ておられることにただただ感心です。
今年は僕も少し映画を観る本数を増やしたいと思ってますので、参考にさせてくださいね。
by おっとぉ (2007-01-07 00:03)
こちらこそ遅ればせながら、明けましておめでとうございます♪
できるだけ良作を選択するように心がけていますが、俳優で選ぶ作品もある(駄作)んで、その辺りは包み隠さす書いていきたいと思ってます。少しでも参考にして頂けると嬉しいです。おっとぉさんのテイストもあると思うんで、時にハズすかもしれませんが(^-^;;; nice!をありがとうございまーす☆
by クリス (2007-01-08 17:13)