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トーク・トゥー・ハー (2002) Spain <Talk To Her> [film reviews]

ペドロ・アルモドバル監督は、その深紅の色彩よりも濃ゆいドラマを、『バッド・エデュケーション』にて魅せてくれた。『トーク・トゥー・ハー』も負けず劣らず濃ゆい。観客に深いショックを与えると共に、普段は開くことのない心の、感情の奥深くにある扉をこじ開けてしまうパワーがある。テーマは一環して「愛」や「孤独」、「死」が描かれており、軽い気持ちじゃ対峙不可能だ。 久し振りのアルモドバルだったから、ちょっと油断してました。

ベニグノは、昏睡状態となって4年が経過したアリシアの看護を献身的におこなっていた。そこへ競技中のアクシデントから昏睡状態に陥った女闘牛士のリディアも運ばれる。リディアの彼、マルコは、突然のことになすすべもなく悲嘆に暮れるが、そんなマルコにベニグノは「Hable Con Ella (彼女に話し掛けて)」という。二人は奇妙な縁から親しくなるが、ある事件が起こり---

作品に描かれる「愛」、または「死」は、"人は孤独を抱えたまま立ち止まれない"という原点から、生まれているような気がしてならない。ネタばれ回避の為に抽象的な表現になるけれど、ある理解しきれないことが起こり、それについての観客の否定的感情はごく自然なものとして、じゃぁどうして、どういう背景からそうなったのかという本質的なものを是非観て欲しい。彼ほどの感情(愛情、又は執着心)を経験した人、それを形にした人はそうはいないけれど、作品の作りからして理解することは決して不可能じゃないハズ。

アルモドバルは、ともすると批判の的にさらされるような描写を、 大胆に描ききっている。危険な賭けに対して、一寸のブレもない監督の信念(あえていうなら)が、紙一重の差だった究極の歪みか美しさかという点を、限りなく美しさへと昇華させていったように思う。あらたなストーリーを予感させるラストに救われる。

トーク・トゥ・ハー スタンダード・エディション

 

トーク・トゥ・ハー スタンダード・エディション

  • 出版社/メーカー: 日活
  • 発売日: 2004/02/16
  • メディア: DVD

 

バッド・エデュケーション

 

 

バッド・エデュケーション

  • 出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント
  • 発売日: 2005/11/25
  • メディア: DVD

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コメント 8

あ~痛い、やや痛すぎる。
劇場公開された時に1度観てはいるのだが・・・
アリシアの綺麗なお乳しか覚えてないんだもの~
こりゃもう1度観ないといけないかな。
ただ、終わり方が意外と良かった印象はあるなぁ
スイマセン。
by (2007-01-21 01:10) 

takepii

すっきり言うと照れくさいですが、「愛」と「死」、「孤独」と「美」は
切り離せないものだと、こういう映画を観るといつも思います。
わたしも、随分大胆で、思いっきりのあるストーリーだと思いみました。
年甲斐もなく、せつない気持ちにさせてくれる映画だと思います。
ラストは好きです。
by takepii (2007-01-21 13:18) 

Lucy

「トーク・トゥ・ハー」は気になっていながら未見でしたー。
「バッド・エデュケーション」はけっこうハマりました...(笑)ガエルくんがきれいなので♪
スペイン語圏の映画って、「愛」や「生と死」「性」の表現が深いですよね。いつも考えさせられます。
「トーク・トゥ・ハー」、今度レンタルしてみます。
by Lucy (2007-01-21 15:25) 

クリス

皆さん、nice!にコメントをありがとうございます♪

>トチオさん
確かに綺麗な乳でした。羨ましいくらいに(笑)昏睡状態でも女を感じさせるシーンでしたよね。ラストも良い感じに閉めてくれて、もう一度観てもいいなって作風になってますね。

>takepiiさん
ご無沙汰してます☆、「愛」と「死」、「孤独」と「美」って、日本語にすると妙に照れくさくてブログに書くのが精一杯なんですが(口ではいえない)、英語だと割りと素直に語れる所が不思議です。こういう映画を観て沸く感情って、いつまでも感じていたかったりしますよね~。

>Lucyさん
是非是非借りてみて下さい!「バッド~」はガエルの相手役の彼もけっこう好きでした。美男子二人、たまりませんね。ガエルのデビュー作、『アモーレス・ぺロス』はご覧になりました?ガエルのストーリーが飛び抜けてイイです♪
by クリス (2007-01-21 18:00) 

u_yasu

こんばんは、お邪魔します。
私も、この映画には参りました。
ちょっと間違えると危険な感じの紙一重の作品というか、ハリウッド映画には描けない作品というか・・・。
『バッド・エディケーション』は、まだ観てないんで、今度観たいなと思います。
by u_yasu (2007-01-21 21:00) 

クリス

u_yasuさん、おはようございます。
エグい所にも芸術を感じられるような、そんな一作でした。最初と最後にある舞台劇が良い効果となってる気がします。ただ、アンチな方の気持ちもわからなくはないんですが、私もやっぱりマルコのように行動する気がして。
『バッド・エディケーション』も濃いですが、謎解き要素もあって、惹き込まれます。ご覧になったら感想聞かせて下さいね♪nice!をありがとうございました~。
by クリス (2007-01-22 08:05) 

lucksun

蟻銀さん、こんばんは。
わたしもこの作品はずいぶん前に観ましたが、
すっかりノックアウトされてしまってその後しばらく
立ち直れなかったことを記憶しています。
アルモドバルは軽い気持ちでは観られませんね。
『バッド・エデュケーション』もしかり。
濃密だけど真摯な描き方に惹かれます。
by lucksun (2007-01-24 00:55) 

クリス

lucksunさんこんにちは♪nice!をありがとうございます。
ほんとに『バッドエデュケーション』といい、脳天をカコーンとやられたような衝撃がありますよね。それも、観たり聴いたりしたものじゃなくて、体の芯からという所が、アルモドバルはすごいなと感じます。そして真摯なんですよね、だから、共感が多く得られるんじゃないでしょうか。
by クリス (2007-01-25 17:16) 

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