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あなたになら言える秘密のこと (2005) Spain <The Secret Life of Words> [film reviews]

『死ぬまでにしたい10のこと』のイザベル・コイシェ監督が、サラ・ポーリーを再び主演に迎えた今作。よく観ると、サラ・ポーリーはエゴヤン監督の『スウィート・ヒアアフター』の美少女だし、油田のコック役のバビエル・カマラは『トーク・トゥ・ハー』のベニグノ、昏睡の少女だったレオノール・ワトリングもいる。舞台は、"ある海洋に浮かぶ油田掘削所" となっているけれど、町の雰囲気、訛りから察すると北海油田のあるスコットランドのアバディーンじゃないかなと思いつつ鑑賞しました。

友達も家族もいない孤独な日々を暮らすハンナ。真面目すぎるシゴト振りから1ヶ月の休暇を上司に提案される。ハンナが向かった先はひょんなことから"ある海洋に浮かぶ油田採掘所"。看護婦として、事故にあい一時的に失明しているジョセフの看護をすることに。

この作品、イライラ気味だった私のコンディションが悪かったせいもあり、うまくハマれなかった。ハンナの秘密に愕然とするが、あまりに唐突な印象も拭えない。『スリー・キングス』のように、ストーリーが大曲りして「え?こんな作品やったん?」という作風もあるけれど、今作は別の次元にスコーンと飛んじゃったみたい。もちろん、ハンナの秘密は言葉にならない痛々しさを含み、悲惨極まりないある真実(体験談を踏まえて作った秘密という印象)を伝えており、それを知る価値は大いにあるが・・・。

スコットランドのアバディーンという所は元々漁業が盛んだったけれど、北海油田がみつかってからは、石油関連の産業が盛ん。下はアバディーン近く、インヴァネスへの入り口となる大橋と、油田がその先にあるかもしれぬ海岸沿い。私が訪れた時は空もどよーんとしていて、まさにスコットランド天気。

 油田のみつかった1960年代、スコットランド人のイギリスからの独立意識が強まりましたが、時は保守党の中央政権時代だった為、スコットランドの自治権利要求はことごとく拒否され、保守党はスコットランドにおける支持も失います。今もなお、スコットランドの要求を支持する姿勢をとった労働党(その頃は野党)が優勢。ブレア首相はイギリス人だけど、エジンバラに生まれとある年間400万円かかる(らしい)小学校に通っていたし、次期首相として噂される財務大臣ゴードン・ブラウンはグラスゴー生まれの生粋のスコットランド人。労働党が政権を奪取してから、スコットランドの自治権も認められ地方分権が進みましたが、独立となるとやはり油田がみつかった1960年代が独立気運のピークだったように感じます。実際、油田の繁栄は昔ほどじゃないし、友達だったブライアンは「遅すぎるよな」といっていた。

アバディーンには新旧の建物が混在しており、郊外には「the Castle Trail(キャッスル街道)」と呼ばれる古城が集まる道もあります。11月に行った為、城はほぼクローズ。冬は閉鎖されている所が多いのもスコットランドの特徴(涙)

映画のレビューのはずが、アバディーンの話になってしまいました f^-^;

◇監督:イザベル・コイシェ <Isabel Coixet> ◇脚本:イザベル・コイシェ <Isabel Coixet> ◇撮影:ジャン=クロード・ラリュー <Jean-Claude Larrieu> ◇編集:イレーヌ・ブレカウ <Irene Blecua> ◇プロダクション・デザイン:ピエール=フランソワ・ランボッシュ <Pierre-Francois Limbosch> ◇出演:サラ・ポーリー <Sarah Polley> ティム・ロビンス <Tim Robbins> バビエル・カマラ <Javier Camara> レオノール・ワトリング <Leonor Watling> ジュリー・クリスティー <Julie Christie>


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coco030705

こんばんは。
なるほどね~。スコットランドの歴史を垣間見ることができました。
やっぱり独立というのはむずかしいのでしょうか。タイミングをつかまないと
できないことなんでしょう。人生、タイミングが大事なことって多いですよ。
グレイト・ブリテンの歴史も色々あっておもしろいですね。

ところで、記事と関係ないんですが、横(←)の映画「あるいは・・・」の写真の上の言葉「Absolutely Brilliant!」って、なんか懐かしい。というのも、私が通っていた語学学校の先生が、「日本人はなんかをほめるとき、niceしか言わない。あれは、アカン!英語をしゃべるときは、色々なものをほめるときに、Absolutely Splendid!、Marverous!, Excellent! などの単語を使って、もっと感情をこめてしゃべりなさい。」といわれたことを思い出しました。
最近は、英語を話すことが少なくなって、勉強もしていないので、だめだなあって思います。また勉強しなくっちゃね。
by coco030705 (2007-02-19 00:14) 

クリス

cocoさんおはようございまーす♪
独立は、アイルランドの例をとっても困難を極めると思います。そこまでスコッツが我慢強くやるかといったら、そのような雰囲気はなさそうです。というのも、民族としての独立は誰もが望んでいても、経済的にはイギリスに頼ってる部分が大きくて。公共への負担が今より増えるのが目に見えている(給料水準は、イギリスに比べる低い)為、生活を考えると難しいのでは・・・。結局「トレスポ」の世界です。イギリス人のことを嫌って文句はいうのに、自分たちじゃなにもできないみたいな。
私も、Absolutelyは強調だったかな?bigじゃなくてhugeとかに使える単語として、よく言わされてましたf^-^; もうすっかり文法的な用語(英語)は忘れてしまって。でも、英語って一生の勉強物ですよね。ほんとに。
by クリス (2007-02-19 06:42) 

berry

スコットランド天気に馴染めるかなぁ〜。
どよーんは頑張って気持ちを奮い立たせないと、お天気と一緒に気持ちも暗くなりそうです。(笑)
そんなお天気に例えてしまいそうなスコットランド、天気も政治も経済も明るいとは言えないんですね。
写真は日本海側の荒波にも似ている雰囲気。
お城がクローズだったのは残念。
by berry (2007-02-24 15:55) 

クリス

berryさん、こんばんは♪nice!をありがとうございます。
夏はスコットランドといっても天気は抜群にいいんですよ。問題は冬、、、人が良いだけに冬の天気が多少改善されれば、快適に住めること間違いなしですね。に天気が悪いっていうのは、人の心も暗くするなぁと、スコットランドにきて学びましたからね、ほんとに(苦笑)
by クリス (2007-02-25 00:47) 

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