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未来世紀ブラジル (1985) UK <Brazil> [film reviews]

10年以上前から、コレは観なきゃなと思い続けていた今作、ようやく観る機会がありました。この作品を皮切りに、勝手にSF三部作レビューになると思います。どの作品がくるのかは、お楽しみに♪さて、この作品が強烈に気になる存在になったきっかけは、なんかの映画特集をみていたら、いろんなジャンルのアーティスト達が、ビックリする程この作品を「ベスト3映画」に挙げていたから。これは観る価値大ありじゃないかと思って、10年以上経っちゃいました。

テロ警戒のもと、情報管理、情報剥奪両局が幅をきかす近未来。情報管理局のサムは現実逃避の夢の中の少女に恋をし、管理局のミスから冤罪を招いてしまったことから、夢の少女そっくりのジルに遭遇し、冤罪の事実を知っている彼女を捕らえようとする管理局に反抗し、逃亡を試みるが---

作品を観ると、『未来世紀ブラジル』又は『Brazil』という原題に疑問を持つことになる。ストーリーとの関わりはほぼ皆無。実はある日、監督が車の運転中に、「Aquarela do Brasil」という今作のテーマ曲にもなっている名曲を偶然聴き、この曲にインスパイアされて膨らませたイマジネーションの世界が、今作となっているらしい。イマジネーションから管理社会への皮肉や反発へと発展させて描いているが、ストーリーはあってないようなもの、初めて観るには流されるように鑑賞するのが良いと思う。というのも、ストーリーの奥深さは一度観たくらいじゃ理解することは不可能だから。シーンごとに監督の隠された意図を探ろうとしてしまうと、とにかくイマジネーションが突飛な為に、訳が解からなくなるのは必須。一度観て、世界観、映像美が好きならば二度、三度観て新しいなにかをみつけるのも楽しいだろう。(追記: ジョージ・オーウェルの小説、「1984」にインスパイアされて作られたことはココをみて知っていたが、「オーウェルの小説を再現するのではなく、現代的な視点から未来を描いたものであるとのこと。」から載せなかったけれど、この小説を読んだSardanapalusさんによると、かなり元ネタとなっている模様。)

テロ厳重警戒の中、日常的に爆発が起こる世の中が現実的に思え妙に怖かった。しかもその爆発に特に反応しない上流社会、管理局の「都合の悪いことには蓋をする」姿勢も。かなり時代を先取りした作品ともいえるかもしれない。ラストシーンから思い浮かんだのは、『時計じかけのオレンジ』。ヒトを操作しようとするのも又ヒトだったりする。そのヒトが作りだすモノに、完璧なものはないということを痛感した(理由は次の「勝手にSF三部作」に)。過信しちゃいけないなぁ。

テリー・ギリアムっててっきりイギリス人だと思ってたけれど、実はモンティ・パイソンに参加していた唯一のアメリカ人だったことを今更知りました。びっくり!

 

未来世紀ブラジル

 

未来世紀ブラジル

  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
  • 発売日: 2004/11/25
  • メディア: DVD

 

時計じかけのオレンジ

実はこっちのほうが好き。

時計じかけのオレンジ

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • 発売日: 2006/12/08
  • メディア: DVD

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コメント 11

Sardanapalus

>テリー・ギリアムっててっきりイギリス人だと
ところがどっこいアメリカン(笑)「空とぶモンティパイソン」のあの変なアニメーションを作ってたということからもその奇抜さが分かりますよね。

ところで「未来世紀ブラジル」といえば、Big BrotherやRoom101のネタ元、ジョージ・オーウェルの「1984」ですよ。もう読みました?全体主義の怖さ、操られるままの民衆、それに反抗し「更生」される主人公ということで、ほぼこの映画の原作と言っても良いんじゃないでしょうか。私は「未来世紀ブラジル」が先だったので、小説を読みながら「どっかで見た話だな~」とずーっと引っかかってました。いずれにしても愉快な話じゃないのでお勧めはしません(^_^;)
by Sardanapalus (2007-03-07 00:53) 

クリス

あの変なアニメーションを生んだのがアメリカ人なんて、想像できませんでした、ほんとに。「1984」に関しては監督がインスパイアはされたけど、別物だと思って書きませんでしたが、ストーリーを読んでみると似てますねf^-^; 本は未読ですが、あらすじを読むと興味が沸いてきましたー。Big Brotherはともかく、Room101は大好きでしたね。自分のhatesも真剣に考えちゃいましたもん。
Sardanapalusさんの意見を参考に、少し加筆しておきます。
by クリス (2007-03-07 16:36) 

lucksun

ごぶさたしてました。
わたしもこの映画はオールタイムベスト10に
入るかもしれないくらいお気に入りです。
謎を残すラストシーン、独特な世界観に惹かれますね。
ていうか、単なるテリー・ギリアム好きだったりもするんですが(笑)。
蟻銀さんの「勝手にSF三部作」、なんだろ? 楽しみにしてます♪
by lucksun (2007-03-07 23:31) 

berry

あっ、わたしもご無沙汰しちゃって . . . スミマセ~ン
「時計じかけのオレンジ」は、<コレは観なきゃなと思い続けて ............ >の気になっている映画です。WOWOWに期待しているのですが。
「未来世紀ブラジル 」ラストシーンは残酷なのかなぁ〜。
余韻を残したラストだと、グサッと胸に突き刺されたみたいで、始末が悪いです〜!?!?(笑)
by berry (2007-03-08 16:36) 

クリス

lucksunさん、こんばんは。nice!をありがとうございます♪
ベスト10入りますかー。あのエネルギッシュな映像は、劇場で観たかったなーって思います。ギリアムは「12モンキース」がけっこう好きですね。音楽とかも良いし。勝手に三部作、観る順序が思い通りにいってないんですが(相棒の意見も尊重しないと、だし)、楽しみにしててくださーい。

berryさん、こんばんは。nice!をありがとうございます♪
「時計じかけのオレンジ」は必見ですね。ただ、観るとかなーり落とされますが(苦笑)又観たくなる不思議なところを持っています。今作のラストは、残酷といえばそうだけど、虚無な心というか、無残な感じですかねぇ。
by クリス (2007-03-08 22:52) 

tomoart

こんばんは。コメントからやってきました。
ワタシもブラジルは大好きな映画です。
「過去に思い描いていた未来」という図式もぴったりハマって、映像も、ストーリーも、余りにも切ない。ラストの落とし方のえげつなさと、それに続く明るい調子の”Aquarela do Brasil”の響きが衝撃でしたw
by tomoart (2007-03-09 20:10) 

クリス

tomoartさん、コメントにnice!をありがとうございます。
>「過去に思い描いていた未来」
そうですね~。私はあのラストを知って、もう一度観たい気持ちになりました。この作品を巡ってはバトルの裏幕を書いた本も出版されてますが、追及しはじめるとけっこうハマりそうですねー。
by クリス (2007-03-11 09:41) 

びっけ

はじめまして。
私も『未来世紀ブラジル』は印象に残っている映画の一つです。

近未来の怖さ、不気味さを
表面的にはポップに明るく描いたのが、この作品だとすると
そのまま暗ーく描いたのが『1984』、
ナイスな選曲で、でも女性としてはかなり抵抗もあるシーン入りで描いたのが『時計じかけのオレンジ』でしょうかね。

『未来世紀ブラジル』を観て以来、私は、中華街にあるアノかぶりものが怖いです。
そう言えば、ロバート・デ・ニーロがちょっぴり出てきてビックリ!しました。
by びっけ (2007-03-11 15:03) 

クリス

びっけさん、はじめまして♪nice!にコメントをありがとうございます!
そうなんですよね、ポップすぎて最初は暗さや奥深さがなかなかみえてこないんですが、観た後ににどっと迫ってくるモノがありますよね。又、観たいです。『時計仕掛け~』は女だけにゾクゾクきたといったら変でしょうか、思わず目をそむけたくなるシーンも多かったんですが、あそこまで、あのセンスで創り上げれる監督を尊敬します。
アノかぶりもの、気味悪かったですよねー。デニーロはもっと登場するかと思ったら、ほんとに時々だったからビックリしましたー。
by クリス (2007-03-12 14:25) 

おぉ!次郎

 『未来世紀ブラジル』『ブレードランナー』『メトロポリス』等興味をひかれた映画です。『未来世紀ブラジル』のロバート・デ・ニーロの演技はなんだか楽しそうで良かったです。
by おぉ!次郎 (2009-03-07 15:01) 

クリス

おはようございます。
『ブレードランナー』も、あっけにとられつつ惹きつけられました。正統派SFよりも、不思議な魅力がありましたよね。nice!をありがとうございます。
by クリス (2009-03-08 08:58) 

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