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ツォツィ (2005) UK/ South Africa <Tsotsi> [film reviews]

去年のアカデミー賞外国映画賞受賞の際に、喜び爆発だったギャビン・フッド監督は南アフリカ出身の監督。次回作は、リース・ウィザースプン&ジェイク・ギレンホールが主役を張る『Rendition』というCIAもの。いきなりジャンプアップしましたね、彼。しかもメリル・ストリープにピーター・サースガード、アラン・アーキンの名前もあってなんとも豪華!はやくこないかなぁと願うと共に、ジェイクとリースの恋の噂も気になっています。ジェイクは、「(『ブロークバック~』の)ヒースとイチャイチャしてたら、何故かミッシェルに子供ができたんだ」発言とか、こんな画像をみて以来、めちゃめちゃ高感度上がってますから(笑)

南アフリカのアパルトヘイトによって隔離されたスラム街に住む通称ツォツィは、夜な夜な仲間と窃盗のターゲットを探しにセントラル駅へと赴き、必要とあれば殺人もためらわない少年。実はツォツィとは不良を意味し、誰にも本名を明かさずに暮らしていた。ある日、あるアッパークラスの女性に発砲し、運転するBMWを奪たツォツィは、後部座席に生後間もない赤ん坊がいることに気づく。動揺するツォツィだったが車と共に捨てることができず、連れて帰ってしまう---

衝撃的だったのは、黒人のツォツィと仲間たちが平然と同種の黒人富裕層を強盗のターゲットとして躊躇なく狙うところだ。アパルトヘイト時代の劣悪な環境の中、きちんとした教育を受けるチャンスのなかった大多数の黒人が、未だに貧困から逃れられない現実は理解していた。ただ、アパルトヘイト時代は、同志として結ばれていたはずの黒人同士の間に、格差による亀裂がこれ程にはびこっているとは思ってもみなかった。

グラスゴー大学院時代、南アフリカに詳しい教授が興味深い講義をしてくれたことがある。アパルトヘイト時代、住民は自治区分けをするにあたって、住人の人種や都合の良い政策を実施する為に、妙に細長い区分分けになったという図をみせてくれた。それはチリの形に似た自治区が、幾つも連なっていたものだった。なんともいいようのない居心地の悪い感情が芽生えたのを、よく覚えている。

ツォツィと仲間たちが犯す無軌道な犯罪には、吐き気がする程の嫌悪感がある。キリキリと胸が痛むのは、彼らの不幸なバックグラウンドを嘆いてなんかじゃなく、なんの罪もなく犯罪の犠牲となった者に対してのやりきれなさ。彼らの抱える問題はそのまま、南アフリカが抱える問題なのだ。少々荒削りな演出、主題の着地点にも疑問を感じるが、アフリカから遠い国に住む私たちこそが、積極的にい観るべき作品だ。

 

◇監督:ギャヴィン・フッド <Gavin Hood> ◇原作:アソル・フガード <Athol Fugard> ◇脚本:ギャヴィン・フッド <Gavin Hood> ◇撮影:ランス・ギューワー <Lance Gewer> ◇編集:メーガン・ギル <Megan Gill> ◇音楽:マーク・キリアン <Mark Kilian> ポール・ヘプカー <Paul Hepker> ◇出演:プレスリー・チュエニヤハエ <Presley Chweneyagae> テリー・フェト <Terry Pheto> ケネス・ンコースィ <Kenneth Nkosi> モツスィ・マッハーノ <Mothusi Magano> ゼンゾ・ンゴーベ <Zenzo Ngqobe> ゾーラ <ZOLA> ジェリー・モフケン <Jerry Mofokeng> 


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コメント 3

lucksun

最近アフリカを題材にした映画が続きますね。
古い映画ですが、南アフリカを扱った作品としては
「ワールド・アパート」「遠い夜明け」などもありましたね。
こうした作品を観ると、自分の無知さ加減が情けなくなりますが、
映画を通して知ることができるというのは貴重だと思います。
この映画も早く観たいです〜。
by lucksun (2007-05-08 23:07) 

ken

この作品のテーマは良かったんですが、
個人的には街並みのカットのときに必ず空の色をいじっていたのが
気に食わなかったですね。
ホントの空の色じゃないのが、作為的でどうしても好きになれませんでした。
by ken (2007-05-09 12:55) 

クリス

lucksunさん、「ワールド・アパート」は未見です。興味ありますねー。
私も、こういったアフリカ作品を通じて、いろんなことを知ります。本当に、映画は私たちに様々なものを与えてくれると、今更ながらに思いますね。nice!をありがとうございます。

kenさん、空の色がそれ程気にならなかったのは、アフリカのポップミュージックに気をとられていたせいかもしれません。
決して褒め称えられる作品じゃないんですが、日本という遠い国の私たちには、一見の価値があるかなと考えました。
by クリス (2007-05-13 01:48) 

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