ドレスデン 運命の日 (2006) Germany <Dresden> [film reviews]
『ヒトラー -最期の12日間-』は2005年に観たベスト映画だし、『白バラの祈り』の衝撃度は上手く言葉にならないくらい。『善き人の為のソナタ』も、題材は変われど良い作品には変わりはなく、近年の質の良いドイツ映画には深い感銘を受けてきていた為、第二次世界大戦末期の"ドレスデン空襲"を扱う今作には、ドイツが被害者の立場をとる作品ということもあり少なからず期待していました。しかし、蓋を開けてみるとこれは意義のある作品とはいえるけれどけっこうな駄作。実は『クイーン』が観たくてシャンテシネへ行ったのに、結局売り切れていた為に急遽観ることになったんです f^-^;
第二次世界大戦末期の1945年1月、父の病院に看護婦として働く24歳のアンナが主人公。戦争の真っ只中とはいえお転婆娘な彼女の存在は、心が和らぐ。後に婚約者となるアレクサンダーに対し、天真爛漫にスキンシップをとるシーンなんかは、一瞬戦争のことを忘れさせる程。主人公がこんなに魅力的なら、作品も良い方へ転がっていくとたかを括っていたのも束の間、空撃中だった飛行機からパラシュート脱出した負傷イギリス兵、ロバートが病院内に身を隠したことから状況が一転する。敵兵のロバートに、アンナが心惹かれてしまい、ロバートもアンナに好感を持つ。ここから、この作品は究極の駄作へと向かっていきます。
とにかく↑この惹かれあう二人に説得力がちっともない。優秀な外科医というアレクサンダーとは人命救助に奔走する者同士という固い絆があったはずなのに、不可解な身元不詳なイギリス兵に、些細なことから気持ちが向いてしまうなんて。そのロバートも、口を開けばドイツ人じゃないことがバレるしひたすら寡黙な為、人となりがほとんどみえない。ロバートがアンナとアレクサンダーの婚約パーティーに潜入し、アンナに「あなた、こんな所にきてなにやってるの?」とワナワナと詰め寄られて、ロバートが「解かってるだろ」と答えても、"わかんないよ!"と心中叫ばずにはいられない。その後も、敗戦の色濃い戦争末期ということもあってシリアスな状況のはずなのに、なんせストーリーがチープすぎる為に熱すぎる俳優陣に失笑してしまうことも。
ドレスデン空襲については全然知らなかったから、今作をきっかけに少しは知識がついて為にはなったけれど、久し振りにワクワクして観にいった作品だったのに、ストレスが膨らむ結果となって残念。ラストの空襲シーンには巨額が注ぎ込まれたらしく迫力はあったが、そこに辿り着く迄に古い映像を無意味につかった編集は予算の関係としか思えない。元々TV映画だったらしいのに、日本じゃ劇場公開しちゃった作品だから、スクリーン負けしてしまっても仕方がないのかな。
◇監督:ローランド・ズゾ・リヒター <Roland Suso Richter> ◇脚本:シュテファン・コルディッツ <Stefan Kolditz> ◇撮影:ホリー・フィンク <Holly Fink> ◇音楽:ハロルド・クローサー <Harald Kloser> トーマス・ワンカー <Thomas Wanker> ◇出演:フェリシタス・ヴォール <Felicitas Woll> ジョン・ライト <John Light> ベンヤミン・サドラー <Benjamin Sadler> ハイナー・ラウターバッハ <Heiner Lauterbach>
こんばんは〜♪
ご無沙汰してます。ちゃんと食べてますか?(笑)
この映画 『 ドレスデン 運命の日 』は、結局、空襲で主人公アンナはどうなっちゃう? なんだったの? . . .なんてヘンな質問ですね。
だいたいは想像つくのですが、蟻銀さんの解説が気に入ったので、そんな見方で観るのも面白いかと思いました。
by berry (2007-06-04 19:41)
berryさん、こちらこそご無沙汰です!
まぁ、アンナが空襲によってどうなるかは、ほんとどうでも良いって感じの展開です(笑)ドレスデンの美しい街へは、一度行ってみたいなという気持ちになりました♪nice!をありがとうございます。
by クリス (2007-06-10 13:06)