カリートの道 (1993) US <Carlito's Way> [film reviews]
『オーシャンズ13』のアル・パチーノの消化不良ぶりが大きくて、三作続けてパチーノ祭り♪となりました(笑)本作は、ショーン・ペンのパンチパーマに幻滅しやしないかと、一昨年、私の中の"ショーン"ブームが最大だった頃には観られなかったけれど、それも落ち着いたし大好きな『スカーフェイス』の続編っぽい本作はずっと気になっていた為、ようやく手にとってみました。昨今のデ・パルマはもう映画監督として迷走しまくってる気がするけれど、やっぱりイイんやよなぁ、昔の彼は。
麻薬の帝王として名を馳せたカリートが、刑務所から戻ってきた。これからは恋人と共に街を離れ、固いシゴトに就きたいと願った彼は、資金稼ぎを割りきってクラブの雇われオーナーを引き受ける。騒ぎを起さないようおとなしく気をつけていた彼だったが、刑務所から救ってくれた弁護士、クレインフェルドには恩を感じており、彼にあるシゴトを頼まれた仁義にあついカリートは、気が乗らないままに引き受けてしまい---
1993年に作られた今作は、1940年生まれのアルが53歳の頃に撮った作品となる。『ゴットファーザー』の頃、1970年代の彼がいちばん好きなのは不変とはいえ、信じられないくらいに"オトコ"を感じさせ、魅力的。『セント・オブ・ウーマン』の翌年に撮ったというのを知って又驚く。lあの枯れた盲目の頑固オヤジが、鋭い勘を持ち殺るか殺られるかの世界を生き抜いているなんて。"刑務所"前の彼女に、なんの駆け引きもなく出所後も恋焦がれている姿が新鮮。『スカーフェイス』の時にはみられなかった、純粋な愛が感じられる所も、トニー(『スカーフェイス』)が成長したらこんなだったかな・・・と思わせてイイ。
しかしやっぱり『スカーフェイス』を先に観てしまい、あのギラギラ感、狂気の世界に心底漬かってしまうと、今作はもっと大人な展開をみせている為に、不安感や焦燥感が余りないままにすぎていく。又、しょっぱなにストーリーのラストをみせてしまって、それがなんの効果も生みだしていない点が気になる。とはいえ、デ・パルマらしいシーンはセントラルステーションを舞台にみられるし、ショーン・ペンの熱演だってある。マフィア映画とアル・パチーノが好きなら、必須アイテムといっていい。
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