ジャスティス (1979) US <...And Justice for All> [film reviews]
30代最後のアル・パチーノが観られる今作。『狼たちの午後』の時には、目元に童顔っぽさが残っていたものの、疲労困憊な弁護士役ということもあってか、今作の彼は若干老けてみえますね。イコール、若い頃のアル・パチーノ萌えも、『狼たちの午後』が最後かなぁ。好きな俳優には変わりないけれど。実はジョン・カサベテスの『グロリア』前の作品が観たかったのに、近所のTSUTAYAには1本もなく・・・(涙)というか、DVD化されている彼の作品が少ないのかもしれません。
同姓同名ということ誤解から投獄されてしまったある青年の保釈を願い、奔走する弁護士アーサー。法を遵守することに命をかける、フレミング判事とは対立しており、青年の保釈にもフレミングの頑なな態度によって上手くいかない。ある日、そのフレミングが婦女暴行罪を受け訴えられ、彼の弁護依頼がアーサーにくることにより戸惑うが---
法廷ものの醍醐味とは、やっぱりラストの勝敗の転び方だといつも感じる。例えば、『12人の怒れる男』。むさ苦しい一室に集まった男たちの精神的にジリジリと圧迫される激論を臨場感たっぷりに描いていて、名作と今も呼ばれている所以はわかるけれど、勝敗の転び方がある程度のところから明確になってしまい、ラストになっても気持ちが盛り上がらない。『ア・フュー・グッドメン』は遠い昔に観たっきりの記憶も定かじゃないけれど、ラストの緊迫感、ジャック・ニコルソンの終始威圧的な態度etc.ストーリーがラスト10分程に上手く集約されていて、これぞ法廷もの!という爽快感があった。
今作もラストの法廷シーンがイイ。アーサーの人となりに、叔父さん、同僚、そして依頼人達との絡みによって親近感を持ったオーディエンスは、必ずやアーサーの最後の演説に胸打つハズ。晩年のアル・パチーノの、大仰な芝居は時にうさんくさく感じることもあったけれど、今作の彼は、若くエネルギッシュな正義感溢れる弁護士役と上記スタイルがとても合っていた。そして、今の彼の姿をとても彷彿させる作品ともいえる。スカッとしたい時に、おススめしたい。
監督:ノーマン・ジュイソン <Norman Jewison> ◇脚本:ヴァリー・カーティン <Valerie Curtin> バリー・レヴィンソン <Barry Levinson> ◇撮影:ヴィクター・J・ケンパー <Victor J. Kemper> ◇音楽:デイヴ・グルーシン <Dave Grusin> ◇出演:アル・パチーノ <Al Pacino> ジャック・ウォーデン <Jack Warden> ジョン・フォーサイス <John Forsythe> リー・ストラスバーグ <Lee Strasberg> ジェフリー・タンバー <Jeffrey Tambor> クリスティーン・ラーチ <Christine Lahti>
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