昼顔 (1967) France <Belle de jour > [film reviews]
同僚のWさんは歌舞伎や落語、そして映画好きとしてよく知られています。Wさんとはよく単館系映画の話をしますが、実は彼女、東京テアトルの株主だったことが判明。そして、余った12月分の株主ポイントを使わせてもらうことになり、この『昼顔』と『夜顔』を連続鑑賞してきました。実は、『わが幼少時代のポルト』という『夜顔』の監督マノエル・デ・オリヴェイラの作品もレイト公開していて、28日21時からの予約を入れていました。しかしその日はシゴト収め・・・。21時には間に合うように帰りたかったのに、酔っ払いに絡まれて結局帰れず o(>_<)o 同僚には、「帰れへんに決まってるわ。こんな日にレイトショー観れると思ってるほうがオカシイ」とバッサリ切られました・・・。
若くてハンサムな外科医ピエールに愛され、幸せな結婚をしたはずのセブリーヌだったが、自身の不感症に悩む日々を送っていた。そんなある日、知り合いに教わった娼館を探しあてた挙句、不感症を克服したい気持ちもあり娼婦としてデビューしてしまう。自ら内に秘めてきた欲望を解き放ったことにより、性格が明るくなったと夫にいわれるセブリーヌだったが、いけないと思いつつも娼婦として客をとることがやめられなくなり---
ドヌーヴの美しさがハンパじゃない。若いお人形さん的な、大根極まりないセリフまわしさえ、彼女の美貌を前にすると気にならない。大袈裟な振りなんかは舞台を観ているようにも感じるが、舞台役者の気迫なんてもちろんない。常にカメラを意識した、意識していることが隠せない立ち居振る舞いも、作風の不思議さとフランス映画ということもあって絵になってしまうところがニクイ。幻想と現実世界の曖昧さによって、観ている者を混乱させる"フレンチ・エスプリ"な仕掛けが、観る者が持つ歪んだ性を呼び起こしにかかる。60年代に、これ程に性に対して卑屈にもオープンな作品が作られるとは、日本との大きなギャップを感じずにはいられない。
上辺をなぞってみると、ただの不倫・不貞映画ととらえる人も多いかもしれないけれど、セブリーヌの心情も、幻想世界の映像も、考えの持っていきようによってはどんどん深みにハマっていく可能性大。
◇監督:ルイス・ブニュエル <Luis Bunuel> ◇原作:ジョセフ・ケッセル <Joseph Kessel> ◇脚本:ジャン=クロード・カリエール <Jean-Claude Carriere> ルイス・ブニュエル <Luis Bunuel> ◇撮影:サッシャ・ヴィエルニ <Sacha Vierny> ◇出演:カトリーヌ・ドヌーヴ <Catherine Deneuve> ジャン・ソレル <Jean Sorel> ジュヌヴィエーヴ・パージュ <Genevieve Page> ミッシェル・ピコリ <Michel Piccoli> フランソワーズ・ファビアン <Francoise Fabian> マーシャ・メリル <Macha Meril> ピエール・クレマンティ <Pierre Clementi>
ドヌーブ、反則なんだよ(笑)。
どんな酷いことも、正当になる。
by ken (2008-01-10 12:43)
なんか、存在そのものがスゴイ感じなんですよね。
nice!をありがとうございます。
by クリス (2008-01-10 23:21)
こんばんは。
これドヌーヴの作品として好きな映画のひとつです。
この完璧な美しさの前では言葉を失いますね。
by coco030705 (2008-01-11 22:04)
ストーリーのあいまいさもイイですね。
それに、完璧な美しさゆえに許されてしまう。なかなかいません。
nice!をありがとうございました。
by クリス (2008-01-12 17:57)