惑星ソラリス (1972) German / Russian <Solyaris> [film reviews]
これはイギリスへ発つ前に観た作品。ブログに書いてない作品がたまってきてしまいました・・・。
未知の惑星、ソラリスの探索が暗礁に乗り上げた為、実態を掴むべく科学者クリスは地球を後にする。到着したステーションは荒れ果てており探索チームの科学者3人のうち、一人は自殺しあとの二人も狂気の淵を彷徨っている。次第にクリス自身も正常な精神を保てなくなる。それは、数年前に自殺した妻ハリーの姿を目撃したためだった―――
ソダーバーグのリメイク版をはじめて観たとき、久し振りに鳥肌が立つ思いがしたのを覚えています。何故か評価が低い作品だけれど、これ程にエモーショナルな作品ってソダーバーグにしては珍しいくらい。その際、「タルコフスキーの『惑星ソラリス』とは一線を画した作品」というインタビューを読んだことがあります、今作を観たらその理由がはっきりしました。
本家となる今作、これは社会主義国家だったソビエト製作ということが色濃く表れていて、ソダーバーグの『ソラリス』は民主主義国アメリカの思想がとことん表れています。ウィキペディアより2つの主義の意義をみてみると、以下のようになっています。
社会主義(しゃかいしゅぎ 英:socialism):広義では資本主義の自由放任によって生じる不平等に対して、国家、あるいは社会が何らかの干渉を行い、公正を実現しようというものである。
民主主義(みんしゅしゅぎ)、又は民主政(democracy):諸個人の意思の集合をもって物事を決める意思決定の原則・政治体制をいう。
タルコフスキーの『ソラリス』においては、常軌を逸している科学者たちのおせっかいとも思える口だしが煩わしく、こうあるべきという意思統一をおこなうシーンが多々あります。そしてソラリス前と後に家族との関わりが挿入されることからも、個々が持つ思想とは裏腹に、家族(又は国家)という共同体における規範が求められていることがみえ隠れします。
対してソダーバーグの『ソラリス』においては、基地の他の科学者たちは干渉どころか関わりを持つことさえ拒む。主人公とその死んだ妻は独立して都会に居をかまえていて、完璧に二人の世界、背後に家族の影はみえません。よりロマンティックな作りになっているし、現代的ともいえます。
タルコフスキー版は、少々観るのに気合いが要りますが、是非とも2作品観て欲しいです。
◇監督:アンドレイ・タルコフスキー 『ノスタルジア』、『サクリファイス』
◇原作:スタニスワフ・レム 『金星ロケット発進す』、『ピルクスの審問』
◇脚本:フリードリッヒ・ガレンシュテイン 『惑星ソラリス』
アンドレイ・タルコフスキー
◇撮影:ワジーム・ユーソフ 『僕の村は戦場だった』、『祖国のために』
◇音楽:エドゥアルド・アルテミエフ 『太陽に灼かれて』、『12人の怒れる男』
◇出演:ナターリヤ・ボンダルチュク 『湖畔にて』、『惑星ソラリス』
ドナタス・バニオニス 『リア王』、『情熱の生涯 ゴヤ』
ユーリ・ヤルヴェット 『リア王』、『惑星ソラリス』
ニコライ・グリニコ 『惑星ソラリス』、『ベラルーシ侵攻1942 ~ナチスの罠~』
こんばんは、お邪魔します。
ソダーバーグの『ソラリス』は、まだ未見なんで、今度観てみます!!
by u_yasu (2008-07-29 01:17)
u_yasuさん、
ソダーバーグの『ソラリス』解釈も面白いと思いますよ。より哲学的なのは元ネタですけどね。
nice!をありがとうございました。
by クリス (2008-07-30 05:43)
ソダーバーグの『ソラリス』、面白かったです!!
by u_yasu (2008-08-15 21:00)
それは良かったです♪
解釈が現代的、アメリカ的になってますよね。
ロマンティックな雰囲気が高くて、気にいってます。
by クリス (2008-08-17 22:26)