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チェンジリング(2008) US <Changeling> [film reviews]

   きょうはこれから、人生初の歌舞伎を観にいきます。建替え前に、一度は訪れてみたかったこともあり、両親と一緒に行ってきます。
   演目は、初心者にもやさしいかな?と思って「元禄忠臣蔵」。とはいえ、ガイドフォンは必須ですよね。幕内弁当も楽しみだけれど、初めてのことが多くてどれくらい純粋に楽しめるかは未知数ですね。

   1920年代のロス。実際に起きた事件を元に、イーストウッドが映画化。シングルマザーのクリスティンの最愛の息子が、失踪して5か月経った。そこへ警察から息子を保護したという連絡が。しかし、息子と対面してみると別人だったことから、彼女の戦いがはじまり---

   この作品を観て、思い出さずにはいられなかった2つの傑作映画があります。
   1つは、1950年代のロス市警の腐敗を描いた『LAコンフィデンシャル』。
   もう1つは、60年代の精神病棟を舞台にし人間の尊厳を問う『カッコーの巣の上で』。

   今作は、上記2作品よりも30~40年ほどさかのぼった時代のはなしです。この頃から警察は、市民の安全を守るよりは自らの体裁を守ることに躍起になり、精神病院は不都合な人物を不条理にも閉じ込め、人間の尊厳を奪う治療をしていたんです。
   歴史の点と点がつながることによって、これらが根深い問題だったことがわかります。

   そんな状況に立ち向かうのが、クリスティン(アンジェリーナ・ジョリー)です。子を持たない女性としては、子供ってとてつもないパワーをくれるんだなという気持ちでした。
   クリスティンの、芯があって警察だろうとなんだろうと食い下がっていく粘り強さはこの作品をグイグイ引っ張っていく要素となっていましたが、連日のブランジェリーナとしての報道により、どこかジョリー自身のプライベートと被ってみえたりというマイナスもありました。

  不条理が深く影を落とす『ミスティック・リバー』よりは1作品としての答えを持った作品ですが、『ミスティック~』のほうが好きですね。好みの問題ですが。

              changeling2_large_large.jpg

◇監督:クリント・イーストウッド 『ミスティック・リバー』、『グラン・トリノ』
◇出演:アンジェリーナ・ジョリー 『狂っちゃいないぜ』、『マイティ・ハート/愛と絆』
      ジョン・マルコヴィッチ 『ウディ・アレンの 影と霧』、『バーン・アフター・リーディング』
     エイミー・ライアン  『その土曜日、7時58分』、『ゴーン・ベイビー・ゴーン』


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コメント 8

hash

こんばんは。
「LAコンフィデンシャル」や「カッコーの巣の上で」で描かれていたことが、その何十年も前から続いていたのは驚きですね。
イーストウッド監督作は、どれも心に響きます。
by hash (2009-03-23 00:02) 

クリス

こんばんは。
観ていた間は、上記2作品と時代が近いんだろうなって思っていたら、実は数十年の差があって・・・驚きました。
イーストウッドの『グラントリノ』も楽しみですね☆
nice!をありがとうございます。
by クリス (2009-03-23 19:10) 

丹下段平

イーストウッド監督作品はどれも素晴しいのですが、たまには『スペース・カーボーイ』みたいな作品ももう一度創ってほしい気がします。
それでも重そうな『グラントリノ』も楽しみですが。
by 丹下段平 (2009-03-23 21:19) 

クリス

丹下さん、
『スペース~』懐かしいですね。20代の誕生日に観にいったこと、よく覚えています。
ウディ・アレンもイーストウッドも、いつまでも元気でいい映画を撮って欲しいと思います。nice!をありがとうございました。
by クリス (2009-03-24 22:04) 

てくてく

どんな小さな希望でも、
捨てないし、捨てられない所が
感動したし、同時にすごく切なくもありました。

監督、いつまでもお元気でよい作品を作り出して欲しいですね^^
(↑「スペース・カウボーイ」、私もまた観たくなりました。)
by てくてく (2009-03-25 08:55) 

クリス

てくてくさん、こんばんは。
そうですね。やはり母ともなると、ああいうものかなと思いました。
「グラントリノ」も観たいと思っています。
イーストウッドが、最後の俳優としての作品にしないことを願って・・・。
by クリス (2009-03-26 23:46) 

cs

こんばんは。
この作品は、イーストウッド監督にとって、まだまだ撮りたい作品がある中のひとつであると思います。
重厚さや原作小説のある物語性と、「ミスティック・リバー」の描写の方がやっぱりより濃厚だったと思います。このエピソードの事実に基づく部分が比較したときにどちらが作品として明確なのかと単純には言えませんが、間違いなく女性がずっと不遇だった時代にこういう組織的な腐敗の構造を覆していた事実があり、報道記事として捨てられていたかもしれないものを発掘して示せたというのは大きかった気がします。いずれにしても、問題提議はしてもアピールするメッセージは控え目ですよね。
「グラントリノ」も期待が高まりますが、ふと「スペースカウボーイ」みたいなテイストの作品、またいつか気が向いて撮りたくなってくれたら嬉しいですね。
by cs (2009-04-15 00:19) 

クリス

「グラントリノ」も、東洋の少年との絆や非行との対岐でしたよね。まだまだアイデアは尽きないんでしょう。
私は「ミスティックリバー」にあった世の不条理が強烈に印象に残っています。今作はそういうのがありながら、映画的にまとめたなってちょっと感じました。
nice!をありがとうございます。
by クリス (2009-04-16 00:12) 

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