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映画総括 in 2010 [feature films]

   あけまして、おめでとうございます!! 恒例となった、映画総括をしたいと思います。ことしは、例年に比べ観るペースが早く、200本超えかな!? なんて言っていたところ、「イチローの215本安打を越えてみたら」という友人の無責任な一言をきかっけに(笑)、途中、たのしいなかにも義務感を感じたりしつつ^^; 師走の忙しい時期にも22本観たりして、なんとか達成しました。

   『(500)日のサマー』からはじまり、『イマジン/ジョン・レノン』に終わった2010年の映画たち。ヨーロッパ系の作品が多く、DVDになっていない旧作もいくつか観ました。いつもならリストを作るんですが、怠惰のためと、もっと使えるリストを作りたいため止めています。25本くらい、まだブログに書いてない作品も残っているし。年明けは、それらの消化からはじめないとです。



◆2010年劇場にて観た作品ベスト5

   Keaneのフロントマン、トムもベスト映画に挙げていた今作。そのストーリー性、映像、音楽、どれをとっても斬新すぎる衝撃的なものでした。しかも監督は、商業性はほぼ無視していて、自身が作りたいものを作っていると言います。キャメロンはBox Officeを意識しているが故に、作品が上目線に感じることがあるけれど、ノーランにはそういう押しつけがないところもいいです。

インセプション Blu-ray & DVDセット (初回限定生産)

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  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: Blu-ray


   『インセプション』と順位を迷ったくらいに、素晴らしい作品。1つの残忍な事件をきっかけに、人生を変えられてしまった、殺された妻の夫と、シゴトとして事件に関わった主人公。次第に明かされる事件の真相の衝撃もありながら、妻を殺された夫の揺るぎない理念と、それを通した頑強な精神に、息を飲みました。終盤に、畳みかけるようにやってくるカタルシスがすごいです。

瞳の奥の秘密 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 東宝
  • メディア: DVD


   久しぶりに、『リトル・ダンサー』や『フル・モンティ』的なテイストを持った、同じくらいにおもしろくて泣ける作品に出会いました。イギリスの片田舎の風景の美しさと、また田舎ゆえに孤独に陥る少年2人を繋げた "手作り" 映画製作には、大人が忘れてしまったアイデアがいっぱい詰まっていました。彼らの思いのたけが詰まった、最後の上映シーンにはノックアウトです。

Son of Rambow

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  • 出版社/メーカー: Caroline
  • 発売日: 2008/05/27
  • メディア: CD


   ミステリーの傑作となった、"ミレニアム・サーガ" の1作目。原作者が、この処女作を書き終えた直後に急死してしまったことが、なんとも惜しまれます。今作の少女の謎の失踪事件から、次作~次次作にかけて経済界のスキャンダルやファシズム、司法界の矛盾や女性差別といった事柄さえも、ストーリーに絡めてくる。その手腕と、スケールの大きさに、圧倒されます。

ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント
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   2010年トップバッターだった今作も、独創的なアイデアに溢れる作品でした。"恋愛映画" じゃなくて "少年が少女に出会う (そして恋に落ちる)" なストーリーだと定義づけるところからはじまります。恋愛に至ってないせいか、Boy=トムの心情を察するとヤキモキし、Girl=サマーの言い分を聴くとそれはそれで納得するという、客観的に誰もがたのしめる作品になっていました。

(500)日のサマー [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: DVD



◇2010年DVDにて観た作品ベスト5

   マルチェロに惹きこまれた、きっかけとなった作品です。映画史上最高のカップル、マルチェロとソフィアが演じる平凡だったカップルが、戦争に巻き込まれ、やがて引き裂かれるという悲哀を描いています。とくに、アントニオ(マルチェロ)の生存を信じて、ロシアに追っかけたジョアンナ(ソフィア)が彼と再会するシーンは、あまりにも残酷。こみ上げてくるものを抑えきれません。

ひまわり HDニューマスター版 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: エスピーオー
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   今作も、1位の『ひまわり』とは日によって変わるくらいの僅差でした。共産主義に傾倒した病身の母のため、東西ドイツの統一をひたかくしにする息子の奔走は、はた目からみれば滑稽にもみえますが、誰かを想い、その人のために尽くそうとする心には痺れました。空飛ぶレーニン像には笑ったけれど、元ネタは、フェリーニが撮った『甘い生活』のキリスト像ですよね!?

グッバイ、レーニン! [DVD]

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  • 出版社/メーカー: グラッソ(GRASSOC)
  • メディア: DVD


   名優ヘンリー・フォンダが、不仲だった娘との修復、そしてオスカー獲得へと繋げた作品。翌年、きっと彼は安らかに永眠したのでは。実際の父娘と作中の父娘の不仲な状況が入り混じりながらも、最後は2人の間にあった隔たりがゆるゆると溶けてゆく様が感じられたこと、とてもうれしく感じました。キャサリン・ヘップバーンの明るく健やかな姿も、この家族を支えています。

黄昏 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
  • メディア: DVD


   名匠ルキノ・ヴィスコンティ監督の、壮大なる一大抒情詩。セリフが少なく、孤独な主人公と関わる人も少ないながら、痛いほど雄弁に彼の苦悩・苦痛を悟らせる、ヴィスコンティの天才的な手腕には脱帽です。マーラーの音楽と共に映る、『インセプション』ともちがった迫力の映像、少年の息を飲む美しさも圧巻です。ことしはベニスにいって、ロケ地を巡りたいなぁ。

ベニスに死す [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: DVD


   結局、イタリア映画に偏ってしまいました^^; 『アフタースクール』や『霧の中の風景』も捨てがたかったんですが、やはり探せないと思っていた今作のロケ地、ファシズムの産物となった低所得者向けのマンションがみつけられたことは、思いのほか心に残っているようです。マルチェロが演じた複雑なキャラクターやソフィアが演じた渇いた不幸な主婦像も、印象的でした。

特別な一日 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: レントラックジャパン
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◇2010年音楽がベストだった作品

   主人公トムのせつなさがいっぱい詰まったストーリーに、なくてはならない1枚。彼の心情の数々をとらえた音楽は、ときにポップだったりときにメランコリーだったりと、表現豊かな音色を聴かせてくれました。今作を観てすぐ欲しくなってCD屋に駆け込んだのに、リリース時期がずれていてなかったことが残念。けれど、ある意味サントラという枠にとどまらない完成度の高さです。

500 Days of Summer

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  • アーティスト: Mychael Danna,Rob Simonsen
  • 出版社/メーカー: Sire / London/Rhino
  • 発売日: 2009/09/21
  • メディア: CD


◆2010年パーソナル大ヒットな役者


   とある日本人俳優も挙げたかったけれど(って、2009年も同じこと言ってる…w)、これからの活躍が期待できる彼よりも、2010年はマルチェロを押したいと思います。マルチェロの面影を探して、お墓をお参りしたり、『甘い生活』や『特別な一日』のロケ地を巡ったり、彼がひいきにしていたお店の好物だったメニューのいくつかを食べてみたりしました。至福のときだったぁ。

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   前にも書いたけれど、彼の作品をはじめて観たとき、彼はもうこの世にはいませんでした。もう少し早く、ヨーロッパ映画にも目を向けていたら…とか、同じ時代に生まれたかったとか、そんな思いが今も胸に残ります。俳優というシゴトを愛し、名声を手に入れながら謙虚な姿勢を崩さなかった彼。その心の暖かさと、いくつになっても持っていたやんちゃな一面が愛おしいです。

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   2010年は、どうしてもイタリア映画に偏ってしまいましたが、いい日本映画にもいくつか出会っていて、この選考はけっこう悩みました。結果、作品のデキよりも、思い入れのより強い作品を選ぶことにしたため、独断と偏見に満ちていると思います(笑)2011年も、DVD化されていない名作イタリア映画を、懲りずにいっぱい観たいと思います^^ どうぞ、よろしくお願いします。


『甘い生活』の名シーンより

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コメント 14

perseus

あけましておめでとうございます。
それにしても映画の数がスゴイですね。
それをしっかりと感想にできることに驚きと尊敬を感じます^^
今年もどうぞ、よろしくお願いいたします。
by perseus (2011-01-03 01:17) 

銀狼

あらためて…今年も宜しくお願い致します^^
イチロー超えは、今年も目標となるのでしょうか?^^

by 銀狼 (2011-01-03 02:32) 

魚河岸おじさん

あけましてオメデトウございます
劇場公開作品上位3本はゼヒ見たいと思います
それにしても、映画 旅行 ライヴ と
カナリアクティブな1年でしたね
時間の使い方を教えてほしいくらいです(笑)
ゴブサタ続きですが、本年もヨロシクお願いいたします

by 魚河岸おじさん (2011-01-03 07:05) 

きさ

劇場のベスト3は良かったですね。
旧作ではグッバイ、レーニン!はロードショーで見ましたが、好きな映画です。
ユーモアはありますが、せつないという所が。
by きさ (2011-01-03 08:51) 

kuwachan

あけましておめでとうございます。
ホントに凄い本数で驚いてしまいます。
今年はそれ以上を狙うのでしょうか(^_-)-☆
インセプションはもう1度観たいと思っているうちに終わってしまいました(>_<)
今年もどうぞよろしくお願いします。

by kuwachan (2011-01-03 10:05) 

komorebihan

クリスさん、明けましておめでとうございます。
イチロー越え、おめでとう~!(*^^)/。 ・:*:・゜ ★,。 ・:*:・゜☆
「ひまわり」しか、観たことないです。凹○コテッ!
戦争はイケナイと、強く思ったものです。サントラ盤も買ってよく聴いてました。
再会するシーンは、何度観ても、涙がドバーっと流れてきます。
今年もよろしくお願いします!(≧∇≦)ノ
by komorebihan (2011-01-03 11:04) 

coco030705

新年おめでとうございます。

イチロー越え、とうとう達成ですね!すばらしい。おめでとうございます。
クリスさんの映画に対する情熱が感じられました。私ももっと観なくちゃ!

この総括もほんとうにいい作品ばかりが並んでいると思います。このなかで私が観たのは、劇場ものでは2本、DVDでは3本です。特にヴィスコンティの「ベニスに死す」は彼の作品のなかでマイベストです!あと挙げられている作品もぜひ全部観たいと思っています。
今年もブログを楽しみにしております。よろしくお願いいたします。
by coco030705 (2011-01-03 11:33) 

てくてく

明けましておめでとうございます。
ホントに凄い数の映画を観られてますね!
映画の洪水状態・・・羨ましい限りです^^
新旧、バランスのとれた選出はさすがクリスさん。
今年も素敵な映画に出会えますように。
今年もよろしくお願いします^^
by てくてく (2011-01-03 18:05) 

tomoart

スゴい本数ですね!次は365歩のマーチでしょうか(爆)。ワタシはテレビの前に座って映画を見るという行為が得意じゃないので(笑)、到底こんな本数は見れません・・・・。きっと神様が『そんな時間があったら絵でも書いてろ』ってワタシに言ってるんでしょうw
by tomoart (2011-01-04 04:18) 

クリス

perseusさん、
あけまして、おめでとうございます^^
まだ感想になっていない数本、いや数十本を早くあげたいと思います。
少しためると、この鑑賞ペースだと辛いですね・・・。
nice!をありがとうございました。

銀狼さん、
ことしも、イチローを超える!をモットーにw
鑑賞数を伸ばしたいと思います。 いつかのときのように、260数本も打たれると
やばいですが。 nice!をありがとうございました。

魚河岸さん、
あけまして、おめでとうございます^^ ごぶさたしてます!
よくアクティブだって言われますが、本人は、そんなにアクティブだって
思っていないところが不思議ですね。家でゴロゴロDVDも大好きです。
nice!をありがとうございました。

きささん、
『グッバイ・レーニン』が公開されたころはイギリスにいて、
その時期のいい映画って、劇場で観れなかったんですよね(英語がつたなくて)。
ほんと、笑いだけでなく、というよりどっちかというとやるせなくて
いい作品でした。 nice!をありがとうございました。

kuwachanさん、
ことしも、イチロー超えを狙って観ます。おもしろい企画だったので、一回だけじゃ
もったいないかと。
『インセプション』は、わたしも2回目・・・と思いながら終わってしまった作品です。
もう一度、観たいですね。 nice!をありがとうございました。

komorebihanさん、
どうぞよろしくお願いします^^
『ひまわり』はほんとうにいい映画でした。油断していたら、それこそ涙ドッパ―でしたよね。あの再会シーンは、ほんとに辛い。戦争のバカヤロウです。
nice!をありがとうございました。

ココさん、
おめでとうございます^^
そして、ありがとうございます。ビスコンティは、『山猫』とか『ルードウィヒ~』とかまだまだ全然観ていなくて、これからも追っていきたいです。
nice!をありがとうございました。

てくてくさん、
あけまして、おめでとうございます^^
昨年は、量も多かったけれど質もよかった1年でした。たいへん満足しています。
ことしも、選眼力を鍛えたいですね。もちろん、好みによって偏りもでてきますが、それも個性なので^^ nice!をありがとうございました。

tomoartさん、
365歩のマーチ! できたらすごいなぁ。ずいぶん先ですが、サンデー毎日になったら挑戦したい企画です^^ ことし、わたしは映画から少し発展したなにかをしたいと思っています。お互い、がんばりましょう! nice!をありがとうございました。




by クリス (2011-01-04 18:28) 

のむら

「500日のサマー」も「インセプション」も、とてもアメリカ製にしては文化的な映画で、良かったですよね〜!
今後のハリウッド作も、こういう映画が増えるといいと思いました。
そういえば500日のサントラを聴きのがしていたので、今度聴いてみます。
by のむら (2011-01-04 21:45) 

lucksun

あけましておめでとうございます!
さすがクリスさん、新旧あわせて大変な数、観てますね。
劇場のベスト2はわたしも観ましたが、どちらも良かったです。
「(500)日のサマー」は見逃してたので、レンタルして観てみようかな。
「ひまわり」「ベニスに死す」などは、若いときにずいぶん観て、
でもあまりピンとこなかった記憶があります。
ここの記事を読んでたら、また観たくなりました。
今年もどうぞよろしくお願いします^^

by lucksun (2011-01-05 00:44) 

コウスケ

…(500)日しか見てない^^;
とりあえず今年はクリスさんチョイスを中心に見始めますww
にしても年間200本以上も映画見るってホントすごいですよね!
クリスさんはきっと時間の使い方も上手なんだと思います

まあ何はともあれ今年も宜しくお願い致しますm(__)m
by コウスケ (2011-01-05 12:13) 

クリス

のむらさん、
おはようございます。そうですね、アメリカにしては、丁寧に作った(といったら失礼かな)作品だったと思います。底力はあるので(ハリウッド)、どんどん発揮してほしいですね。nice!をありがとうございます。

lucksunさん、
あけまして、おめでとうございます^^
『ベニスに死す』はとくに、若いときに観ていたら訳わからんって終わってしまったかもしれません。けれど、訴えかけるものが凄かったです。あっけにとられました。
ことしも、どうぞよろしくです。nice!をありがとうございます。

コウスケさん、
『(500)日のサマー』は音楽めっちゃいいですよね。
年間200本鑑賞は、さすがに計画的にやらないとなんとなくでは無理ですね。
けど、充実した1年になりました。継続したいと思います~。
ことしもどうぞ、よろしくです^^
by クリス (2011-01-06 08:11) 

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