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世界にひとつのプレイブック (2012) USA <Silver Linings Playbook> [film reviews]

   妻に浮気されてから怒りがコントロールできず、精神病院へ入っていたパット。退院したものの妻も仕事も家も失いため、実家暮らしを余儀なくされる。心身の健康をとり戻せば妻とやり直せると信じるパットだったが、ある日、友人に誘われたディナーで若いティファニーに出会う。夫を事故で亡くし、心に問題を抱えていたティファニーは、パットにダンスパートナーになって欲しいと言う。


   『ザ・ファイター』のデヴィッド・O・ラッセル監督が、人生の再起をかけた男女の姿を忌憚なく描きます。若くして人生の崩壊を迎えたパットとティファニーが、互いが互いにアンバランスに生きている中、手に手をとってほどよい安定感を掴もうとするストーリーは、ベタベタなラブコメのようなんですが、胸に突き刺さる瞬間がいくつも描かれていて、主人公二人に寄り添ってしまいます。

   前作『ザ・ファイター』に似ているなと思いました。あの作品も、ディッキーとミッキーという兄弟の再生を描いており、彼らが、生々し傷みを包み隠さず吐露し、ぶつかり合う姿は今作にも通じています。役者が魅力的という点も近似です。前作においてはわたしの(笑)クリスチャン・ベール、今作においては若くて美しいジェニファー・ローレンスが、それぞれアカデミー賞に輝きました。

   リアルに考えれば、なんらかの形で配偶者を喪失することはヘビー極まりないんですが、コミカルに傷をエグることによって、ともすれば爽やかにさえ感じられます。そこには、造った感がないからかもしれません。ですが、残念なのは予告編が多くを語りすぎていたこと。予定調和なストーリーでもハッピーな作品でしたが、予告を観ていなかったら、もっと楽しかったにちがいありません。

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◇監督:デヴィッド・O・ラッセル 『アメリカの災難』

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