天国の門 (1981) USA <Heaven's Gate> [film reviews]
ハーバード大学を卒業した、エイブリルとアービン。20年後、エイブリルが保安官となってワイオミングに戻ってきたことから、小規模移民牧場主だったアービンと再会する。牛泥棒根絶のための移民農民の皆殺し計画があることを知ったアービンは、エイブリルに相談する。エイブリルは恋人でフランス系移民のエラを守るため、牧場主の雇われガンマンかつ恋敵のネートと共に立ち上がる。
3時間を超える大作であっても、おもしろい作品は寝ませんよね。今作は、公開時はズタボロに批評家に叩かれた挙げ句、莫大な制作費を費やした割に興行成績もまったく振るわなかったらしいです。たしかに今になって観ても、舌足らずのような説明不足は否めませんが、それを補って余りある叙事詩的な作品です。お金掛けただけあって、戦いのシーンは観応えあります。黒沢映画のよう。
ただ、結婚にも煮え切らず、殺されそうな移民たちに手を貸すのも一筋縄ではいかない主人公エイブリルには共感しづらく、彼の恋敵ネート(=クリストファー・ウォーケオン)の美しさやまっすぐさに魅せられ、応援して観ていました。宝塚の男役のような顔立ちはほんとうに美しく、久しぶりにクリスが出ているFatboy SlimのPVを観てみました。彼はダンスも、けっこういけるんですよね。
主演のクリス・クリストファーソンは、ヴィゴ・モーテンセンにみえて仕方なかったです。ジョン・ハート演じるアービンは、ハーバード大学卒業時には答辞をするほどに知性も才能も、そしてユーモアもある人物だったのに、なぜ小規模移民牧場主の集まりにおいても、あれほどにはみ出しもの的な扱いを受けていたのか、不思議でなりませんでした。そういう描写がないところは残念です。
エイブリルの恋人エラを演じたイザベル・ユペールも、今とはだいぶ顔がちがうなぁと思いました。肉づきのせいかもしれません。そして、今作の最大の謎はラストシーンの解釈です。エイブリルがエラに求婚しなかった(できなかった)理由が解る気がしたんですが、なぜエイブリルは乗船していたのか。彼が救えなかった移民たちをメタファーとしたシーンなんでしょうか。どうなんでしょう?
◇監督:マイケル・ミチノ 『ディア・ハンター』
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