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エレニの帰郷 (2008) Greece | Italy | Germany | Russia <The Dust of Time > [film reviews]

   20世紀末のローマ。映画監督Aは、母エレニの人生を映画にしようと苦闘していた。50年代のソ連、ギリシャ難民の町テミルタウに暮らしていたエレニは、かつての恋人スピロスと再会。つかの幸せを掴むがスターリンの死去に伴う混乱の最中、二人は逮捕され再び離ればなれに。スピロスの子供を身ごもっていたエレニ。苦境の彼女を、彼女に想いを寄せるイスラエル難民のヤコブが支える。

   昨年の、東京国際映画祭にて鑑賞。一次チケットは逃してしまいましたが、二次が奇跡的に穫れて、大江戸線のとある駅で夫におチビを預けていってきました。テオ監督は『霧の中の風景』がいちばん好きですが、今作の前章となる『エレニの旅』も残酷すぎる美しさを放つ秀作でした。その続編、かつテオ監督は不慮の事故により突然亡くなってしまたため、今作は彼の遺作でもありました。

   うれしい驚きが二つありました。一つは、テオ夫人/Producerと娘/Production Cordinatorが来日されているとは知らず、二人の舞台挨拶とメッセージが聞けたことは、なによりのプレゼントになりました。もう一つは、今作のファーストショットが、ローマのチネチッタ撮影所のアップだったこと。私が父とローマを旅し、チネチッタの前で写真を撮りまくったのは、もう3年前のことですが。

   今作は、テオ監督作としては珍しく、音や語りが多く感じられました。霧がかった国境の風景などの独特の映像美も健在です。時代の移り変わりに翻弄されながらも、自分自身の生き方を貫く支えとなった「愛」が、逞しくも哀しく描かれています。少々、仰々しく感じる演出もみられましたが、一見の価値あり。ウィリアム・デフォー、最近はヨーロッパ系作品にシフトしているんでしょうか。

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◇監督:テオ・アンゲロプロス 『エレニの旅』

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