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フィルス (2013) UK <Filth> [film reviews]

   出世のためには同僚や友人を陥れることも厭わず、ずる賢いスコットランド警察の刑事ブルース。アルコールとドラッグ中毒で人種差別主義者の彼は、有り余る性欲をところかまわず吐き出す毎日を送っていた。日本人留学生が殺害された事件を担当することに。無能なライバルたちを出し抜き、この事件を解決して昇進することを企むブルースだったが、彼には人にはいえない秘密があった。

   原作は、『トレインスポッティング』のアーヴィン・ウェルシュ。彼が製作総指揮にも名を連ねており、監督のジョン・S・ベアードが書いた脚本を気に入って、映画化にも尽力したそうです。スコットランドを舞台にした今作を観れば、グラスゴー時代を思い出して懐かしい気分になるかなと思っていたけれど、余りにも痛すぎる主人公に唖然としてしまい、郷愁はどこかへ吹き飛びました…。

   主人公ブルースが抱える深い闇は、思いがけぬ形で露になりますが、これは、原作を読んだほうがよりダークな世界が描かれている気がします。原語がいいけれど、隠語が多すぎて辞書も役に立たないかも。幻想、妄想、現実が入り乱れながら主人公の精神衰弱ぶりが加速していく中、いけ好かなかった主人公に思わぬ形でぐっと心を寄せてしまう演出はみごとでした。アートワークもいいです。

   贔屓にしてるジェームズ・マカヴォイは、七変化ならぬ八変化。完全に振りきれた演技をみせてくれました。同年公開の『トランス』ともまた別な顔をみせ、美形なのに汚れ役も厭わない潔さが気持ちいいです。かれこれ7年は彼を追っかけて観ているけれど、もっともっと知らない顔がみたい!!と欲が出ます。グラスゴーが舞台だったら、もっともっと下品な作品に仕上がったかもしれません。

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◇監督:ジョン・S・ベアード 『フィルス』

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