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美しい人(2005) USA <Nine Lives> [film reviews]

ロドリゴ・ガルシア監督の前々作、「彼女を見ればわかること」は、趣きのある、静かな、しかし力強い女性の生命を感じさせる作品でした。

 

彼女を見ればわかること

 彼女を見ればわかること

  • 出版社/メーカー: 日活
  • 発売日: 2002/01/25
  • メディア: DVD
 
懐かしい、「レインマン」はチャーリーの彼女(ヴァレリア・ゴリノ)の姿も。
 私自身がこれを観るには洞察力がたりなかったのか(単に幼かったのか)、グレン・クローズ、キャメロン・ディアス、カリスタ・フロックハート、キャシー・ベイカーにホリー・ハンターetc という、キャリアも経験も、花もある女優陣を集めたキャスティングが、少々話題先行してしまい、監督のメッセージが逆に弱まってしまった印象を受けた。
 
今作、「美しい人」は、九人の女性達の様々な「愛」の形をみせていく。ショートフィルムを繋ぐ形や、群像劇スタイルの作品は、トータルな流れを汲むせいか、個性のないストーリーが挿入されることがよくある。しかし、「美しい人」の九つの短編は、皆キラリと光るものばかり。彼女達の「愛」の形を探求せずにはいられないのです。
 
 
エピソード紹介は、九つもある為に省略して(ココにあります→公式HP)、印象的だった事柄から。
こういうスタイルの作品は、皆さんも承知の通り、俳優達の力量+バランスがとれていることが重要。「美しい人」の女優達は、それこそ文句なし、皆が素晴らしかったと。競作のようなスタイルは、互いに切磋琢磨し、持っていなかった力さえ身につけて発揮させる。それに、やはりアメリカという国は、俳優陣の宝庫。それにはいつも敬服する。そして、これ程に心地よいバランス感覚が保たれてるのは、撮影に要する日数を数日に抑える為(女優達のスケジュールの関係)、監督、スタッフが、一つ一つのストーリーを丹念に作り込み、どれも深みを与えるに充分なプロセスを踏んだことが伺える。
 
特筆すべきは、第二話のロビン・ライト・ペン。去年私が、かなり気になる存在だった(過去形?(笑))ショーン・ペンのパートナー。ワンカット・ワンシーンという撮影方法の為、9~14分のショットの間に、連続した演技を披露している。その手法がまず彼女達の「瞬間を写す」為にはベストなアイデアだったとして、ロビン・ライトの後姿から、戸惑い、困惑、苛立ち、動揺が、観ていた私の心臓にダイレクトに響き、居心地の悪さを感じたのには感服した。彼女が、これ程に繊細な女優だったとは!

 この、ロビン・ライトと「訳あり」だった彼は、その後、ホリー・ハンターの第四話にも姿を現す。このように、群像劇的な重なりからくる、サプライズもいろいろあって楽しめる。ただ、この彼は第四話の姿をみて、俗っぽすぎるキャラに成り代わってしまってて残念。余談としては、ホリー・ハンターの、年を重ねるごとに若返っていくような、あの瑞々しさの秘訣が知りたい。「ピアノレッスン」の頃より若くみえるなんて(単に役作りかな~)。
 
短編の為、各エピソードそれ程語られず、観客の感受性や作家性に任している、謎解きのような感覚、近親の友を思い遣るような気持ちになり、より作品に嵌っていく気がする。多少、監督の意図が読みきれない不親切さも感じるが、100%理解しきってしまうよりは、いいのかもしれない。
 
美しい人 デラックス版

美しい人 デラックス版

  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
  • 発売日: 2007/02/23
  • メディア: DVD
女性なら、必ずしや好みのエピソードが幾つもみつかる筈。おススめ度★★★★
 

 観終わって売店にあったパンフレットを深く深く立ち読みしてると(スイマセンねぇ)、「次回の『キンキーブーツ』は売り切れました~」との声が。そう、『キンキーブーツ』はイギリスは冴えない(失礼)地方都市、ノーザンプトンを舞台にしたクレイジーなブーツのお話(ココに)。嬉しかったなぁ、これは。

 

後、全然関係ないけれど、この作品のサントラがあるかなぁと検索していたら、こんなCDがひっかかった。

美しい人

美しい人

  • アーティスト: オムニバス, イザベル・アジャーニ, シャルロット・ゲンスブール, セルジュ・ゲンスブール, ブリジット・バルドー, ジャンヌ・モロー, ジェーン・バーキン
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルインターナショナル
  • 発売日: 2000/01/19
  • メディア: CD

非常に聴いてみたい。


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coco030705

こんにちは。
台風が今九州にいて、明日ぐらいに大阪にやってくる様子。雨風がちょっと強くなっています。(直撃はさけられるかもね。)
蟻銀さんの記事を読んで、がぜんこの映画がみたくなりました。ロビン・ライト・ペンは、以前ケビン・コスナーと一緒にでてましたね。きれいな女優さんですよね。背中の演技、どんなのでしょう。
「キンキー・ブーツ」も見てみたい映画です。今から9月末まで仕事が忙しいので、見るのは10月になりそうかな。見逃さないようにしたいです。
by coco030705 (2006-09-17 15:45) 

敏 悌次

お久です。
何か凄い女優陣なのですね。
原題の方が見たい気をそそります。
>女性なら、必ずしや好みのエピソードが幾つもみつかる筈。
男性の場合は、好みの女性が何人か見つかるでしょうか?(笑)
by 敏 悌次 (2006-09-17 19:26) 

クリス

>cocoさん
台風、こちらにも明日上陸しそうなのかな~。実は明日はバイト(ウェイトレス)やから、台風がきて客足が鈍ると、密かにうれしいかも。
この作品は、可能な限りの女性に是非観て欲しいです。こういう、女性の為の映画というのは(そして観るに値する)嬉しいですよね。もっと宣伝しちゃお。
「キンキーブーツ」は、こてこてのイギリス映画って作りですが、それがわかってる為、安心して観られるし波に乗って泣き笑いしちゃいます。また、レビュー待ってますよん♪nice!、ありがとうございました。

>宝塚さん
お久しぶりです~。いつもクスッと笑える、粋なコメントをありがとうございます♪どの女性も魅力的ですよ。彼女達の伴侶が素敵だったりもします。夫婦とはこういうものなのかぁという考察もあって、勉強になりました。はい。nice!、ありがとうございました。
by クリス (2006-09-17 22:02) 

berry

こんにちは〜♪
お久しぶりで〜す。名古屋暮らしは快適ですか?(笑)

記事を読んでいたらサイドバーの『SAW』の写真に目が行ってしまい、そのまま引っ張り込まれてしまいました。中を覗いてきました。
[ About the FILM ] を見てしまいました ........
ひゃ〜〜〜、心臓パクパクですわ。(笑)4回も続けて見てしまいました。

[ SIMULATION GAME ] をしました。4回目くらいに抜け出せました。相手との駆け引きですね。ドキドキでした。(笑)
今日は『SAW』のコメントでせいいっぱいのようです。(笑)
by berry (2006-09-22 17:14) 

クリス

おはようございます。コメントが大変遅くなりまして、失礼致しました・・・。
「SAW」の駆け引き、奇猟さ、謎解き、どれもパーフェクトです。久しぶりに、こんなにインパクトのあるDVDを観たな~と、今も思ってます。

是非、実物を鑑賞して下さいませ♪
by クリス (2006-10-03 09:10) 

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