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カポーティ (2005)US <Capote> [film reviews]

カポーティ

 カポーティ

  • 作者: ジェラルド クラーク
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1999/04
  • メディア: 単行本
  • 『遠い声、遠い部屋』や『ティファニーで朝食を』の著書がある、作家・トゥルーマン・カポーティ。彼が『冷血』執筆に費やした6年間に焦点をあて、人物像に迫る。

 

「ティファニーで朝食を」は読んだことがあるけれど、余り惹かれるタイプの小説じゃなかった為に、印象は薄い。その為、同名映画もさほど観たいと思わずにきた。「冷血」という小説の存在は聞いたことはあったけれど、未読。しかも、上記二作品が同一人物のものというのは、この映画を通してつい最近知った。トゥルーマン・カポーティ自身に関しては、なんの知識もなかったといえる。

この映画は、脚本を書いたダン・ファターマンのインタビューに、カポーティの伝記映画を作るにあたり、生い立ちから晩年迄の際立ったエピソードと絡め、人となりを作り上げていく王道的なやり方を捨て、カポーティが『冷血』執筆に費やした6年間にあえて絞って書いたというくだりがあった。実際に映画を観て、観客の心を掴むのに成功していると思う。例えば「レイ」のような構成はどうしても間延び感があり、よほどのファンじゃない限り退屈を覚える。対してダンの脚本は、『冷血』執筆の裏に隠された素顔を覗くことにより、主人公を凝縮してよく表現しているなと感じた。それは、彼の人生が『冷血』前、『冷血』中、そして『冷血』後から成っているといえるから。凄惨な事件と犯人ペリーに、何故それほど固執したのかは特に描かれていない為、『冷血』を読まれた方には、もやもや感が残るかもしれないが、固執した理由よりも、固執した為に彼がどうなったかが、この映画におけるポイントのように感じた。

フィリップの名演、キャサリンをはじめとする助演の輝きはどの記事にも絶賛されている為に割愛し、上記にも触れた、この映画の脚本家・ダン・ファターマンについて少し。実は彼、1997年頃から私の好きな俳優の1人だったのデス。アメリカ版Newsweekに"俳優の出世術"として、彼が「カポーティ」の脚本を書いたことにより注目を浴び、俳優としても飛躍しそうだ(次回作はアンジー共演の「A Mighty Heart」)という記事が。たしかに、俳優としての彼のキャリアは映画とTVを行ったりきたりしていて、新作映画も2002年の「イナフ」以来きていない(しかも駄作?)。

やっぱり格好イイな♪

シューティング・フィッシュ

 

 

 シューティング・フィッシュ

  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • 発売日: 2000/05/24
  • メディア: DVD

彼の代表作というと、私がファンになったきっかけのコレ↑。ダンとケイト・ベッキンセール、スチュワート・タウンゼント(シャーリズ・セロンの彼氏)によるブリティッシュコメディー。元気とノリの良さに爽快感を覚えるし、音楽が最高に心地いい。ダンは難読症の詐欺師役。軽いノリのスタンスと抜群の滑舌、マスクの良さが相まってキューンとなり、劇場に7回くらいは観に行った気がする・・・f^-^;)

シューティング・フィッシュ(サ

シューティング・フィッシュ(サ

  • アーティスト: サントラ, スペース, ストレンジ・ラブ, スーパー・ナチュラルズ, シルヴァー・サン, シンポジウム
  • 出版社/メーカー: 東芝EMI
  • 発売日: 1997/12/10
  • メディア: CD

ブレイク前のキャリスタ・フロックハートの恋人役をやった「バードケージ」

バードケージ

 

 

 

バードケージ

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • 発売日: 2006/07/14
  • メディア: DVD

 

ホームレスとなったヘンリーを襲う、若者の一人(判別しにくいけれど)だった「フィッシャーキング」

フィッシャー・キング

 

 

 

フィッシャー・キング

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • 発売日: 2006/06/17
  • メディア: DVD

彼が脚本家として脚光を浴びたことに驚きつつも、これを機会に名を広め、俳優としても飛躍の場を広げてくれると信じ、密かに期待をしていきたいデス。 
◇監督: ベネット・ミラー<Bennett Miller> ◇原作: ジェラルド・クラーク<Gerald Clarke> ◇脚本: ダン・ファターマン<Dan Futterman> ◇撮影: アダム・キンメル<Adam Kimmel> ◇音楽: マイケル・ダナ<Mychael Danna> ◇編集: クリストファー・テレフセン<Christopher Tellefsen> ◇出演: フィリップ・シーモア・ホフマン<Philip Seymour Hoffman> キャサリーン・キーナー<Catherine Keener> クリフトン・コリンズ・Jr. <Clifton Collins Jr.> クリス・クーパー<Chris Cooper>


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berry

格好いい!ですぅ〜〜〜♪イケメンですね。
素朴な質問です。
<「カポーティ」の脚本を書いたことにより注目を浴び、俳優としても飛躍しそうだ>
脚本家の道を行くのではなく、俳優としての道を進むのですか?
それとも二足のわらじ?書いたことが俳優として認められるという公式がよく理解できないです。脚本家って私のイメージは書き手なの。(笑)
by berry (2006-11-15 17:38) 

coco030705

こんばんは。
コメント&TBありがとうございました♪
蟻銀さんが私のところでおっしゃっていたように、
作品について色々な人が様々な意見を言えて、考えさせられる
ことの多い映画こそ、いい映画なんですよね。
「カポーティ」もそんな作品だと思います。
この映画の脚本家・ダン・ファターマンって、かっこいいやん!(なんで
大阪弁になるねん・・・)いいわぁ~~。
マット・デイモンも「グッド・ウィル・ハンティング」でアカデミー賞脚本賞を
とりましたね。彼も俳優としてもいいし、脚本家としても素晴らしいと思います。
ダンも2足でも3足でもわらじをはいてほしいですね。
↑の「シューティング・フィッシュ」、いつか見てみたいです☆
by coco030705 (2006-11-15 21:23) 

Naka

こんばんは。
カポーティの内面に深く斬り込んんでいて、
役者の演技もさることながら、ほんと脚本が素晴らしかったです。
ダン・ファターマン、知的な美男子ですね♪
今後に注目したいと思います。
by Naka (2006-11-15 23:17) 

lucksun

こんにちは。TB&コメントありがとうございました。
>彼の人生が『冷血』前、『冷血』中、そして『冷血』後から
成っているといえる
なるほど納得! 簡潔でズバリ的を射た言葉だと思います。
『冷血』を書いた行く末、という視点から観てみたら
なんとなくスッキリしました。

それにしてもダン・ファターマンという脚本家、カッコ良すぎですね。
このルックスで脚本家なんてもったいないとなあ。

こちらからもTBさせていただきます!
by lucksun (2006-11-16 18:46) 

hanashinobu

シューティング・フィッシュのサントラが気になります。笑
だってね、カポーティはレンタル待ちですから。(涙)
その時まで『冷血』読もうと古本屋で探してるんですが、まだ見つかりません。
by hanashinobu (2006-11-16 23:32) 

こんばんは~
確かに、映画と本とは違うもの、本なら生涯を通して活字にしてもいいが、2時間そこそこの映画として描くなら、本作のようにある程度時期を絞る事は間違いではないですね。というような印象は本作から受けますし、そしてそれが成功したのではと思えます。
しかし、まったく脚本かに注目してなかったけど、蟻銀さんの記事を読むと彼の成した事は本作の成功にとって大きかった事だとうなずけます。
それに、ダン・ファターマンって役者さんなのですかぁ。
マット・ディモンを思い出しますね。私はマット・ディモンは役者としてより、脚本家としての方が評価しているのですが、蟻銀さんの為にも(笑)、ダンもそうならないようにって感じですね(笑)

TBの件ですけど、さっぱり解らんです(スイマセン)
何が原因なんでしょうかね。
ここ最近ソネブロ調子悪いし、その影響か?
by (2006-11-17 01:06) 

私はTB出来ましたが・・・2つもいっちゃいました(スイマセン)
ソネブロ重い!!
by (2006-11-17 01:15) 

クリス

みなさん、nice!にコメントをありがとうございまーす♪

>berryさん
イケメンですよね~~~(はぁと)最近の映像を「カポーティ」関連でみて、少し年取ったなって感じたんですが、やっぱり元がいいから (*^-^*)
俳優として躍進するっていうのは、元々彼が俳優で、脚本はたまたま今回書いてみた(ら良かった)という感じなのです。ダンは「カポーティ」に関して、脚本家に専念してますが、過去には俳優としてのキャリアアップの為に、自ら脚本を書き、役を演じて注目を浴びた人々がいるんですよ~。

>cocoさん
脚本家としての才能も発揮してくれたダン、男前な上にインテリジェントなんて完璧ですよー。奥様が脚本家だから、アドバイスをいっぱいもらったのかなぁって思います。
マット&ベンコンビも、昔は次に脚本に取り掛かってるってよくインタビューで答えてたけれど、お互いに俳優として忙しすぎて詰めて書けないのかなぁって。「グッドウィル~」大好きです。視線が暖かくて。

>Nakaさん
初脚本とは思えない、観察眼が鋭いというか、要点をしっかり押さえてるなぁと感心しきりです。俳優やらせても、器用に立ち回る人なんで、これから正当に評価されるといいなぁと、まずはアンジー共演の新作公開を待ちたいと思います♪

>lucksunさん
「冷血」をはやく読みたいと思いつつ、今読んでるモノがなかなか終わらなくて・・・。私も、「冷血」を読んだ後に映画を観たら、又別の感想を持つかもしれません。いろんな角度、尺度から討論できる映画の存在って、貴重だなって心から思います。そういう機会を与えてもらうと、幸せな気分になりますねー。

>hanashinobuさん
「シューティングフィッシュ」のサントラは、昨今の良き音楽が詰まっていて和みます。映画にあってるんですよね。いい雰囲気醸しだしてます。
「冷血」は、単行本で900円ちょいだったんで、買っちゃいました。日本戻ってから本代もケチって実家の書庫をあさってましたが、これはどうしても読みたくて買っちゃいました。はやく見つかるといいですねー。

>トチオさん
マットは今後、脚本を書くことがあるんですかねぇ?「グッドウィル~」は清清しい1作でした。又、あのような作品をみせてくれるのなら、楽しみですよね。ダンも脚本家として評価されるのは嬉しいけれど、やっぱり俳優として表にでてきてもらわないとー!って思ってます(笑)TBは1つ消しておきました。トチオさん所のトラバは、半ば諦めましたぁ。なにか引っかかっちゃったんですかね。
by クリス (2006-11-19 00:58) 

ども。私も最近まで「ティファニー・・・」が彼の作品とは知りませんでした。これ映画検定の問題にも出たんですよね~(笑)。私にとってはカポーティは『アラバマ物語』を書いた人という印象が強かったので。『アラバマ』はめちゃいい映画です。
by (2006-11-20 20:56) 

クリス

katoyasuさん、nice!&コメントをありがとうございます♪
「ティファニー~」と「冷血」を同一人物が書いたとは思えませんよね。この映画を観ると、どういう背景から書かれた作品なのかわかる気がしましたが。
「アラバマ~」は私も大好きです。カポーティの幼馴染、ネル・ハーパー・リーが書いたものですよね~?原作は未読ですが、映画は良かったなぁ。温まりますよね。
by クリス (2006-11-21 18:50) 

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