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卒論報告。<The Film Industry & Urban Regeneration in Glasgow> [film studies]

私自身も忘れかけていた大学の卒論、ようやく結果が到着しました。(写真は、スコットランドはハイランドのとある小さな町のポストと、勉強中だった頃の風景)

そうそう、一応身分は今も大学院生。3月末には書き上げていた卒論も、私の指導教官・ジョンが目の病気を患ったこともあり、審査が遅れていたんです。ジョンは私が書いたものを気に入っていたし、まぁ大丈夫かなと軽く考えようとしたけれど、けっこう厳しい評価が下されるのを去年みていた為、内心ドッキドキしつつ手紙を開けてみると・・・あ~良かった。ちゃんとパスしてた♪点数は後から通知されるけれど、グレードからみてぼちぼちって感じ。ようやく卒業やなぁ。

 

 

この卒論を書き上げる迄には、紆余曲折ありました。プライベートも予期せぬことが起こったし、余り前例のないトピックを扱った為に、関連資料や参考文献を集めるのに苦労し、関係者へのインタビューも、アポとりから積極的にいかないと誰も捕まらないし。インタビューに辿り着いても、なんとか話を広げて有意義な情報を余すところなく掴む為に、必死に食らいつくしかなかった。結果、好意的な協力を各方面から得られ、暖かい人脈が築けたのは今も感謝しています。

私がとてもラッキーだったのは、指導教官に学部から割り振られたのがジョンだったこと。シャイな為、それを隠そうとして思いついたことをポンポン話すし(参照)、早口+スコティッシュ訛りが激しく、若者のスラングを日常的につかう大学の先生らしからぬスタイルに、最初こそは戸惑ったけれどスグに親近感が沸き、オープンにどんなことも話せる関係になれた。「もう書けない!限界!!」と切羽詰ってジョンの部屋に駆け込んだ時も、あれこれ詮索せず、「抱えてる問題の大小は他人が判断するものじゃないし、俺はKのことを信頼してるから」と、各方面に骨を折って提出延期の便宜を図ってくれたこと---どんなにありがたかったかと、今思い出しても目頭が熱くなってしまう。私がグラスゴーを離れる前、最後に会った時はわざとなのか"魚河岸市場" ってポップに書かれた青いTシャツだったっけ(結構オサレさん)。自称味音痴な為、寿司ネタの味の区別がつかないらしい(笑)

 けっこう若くみえるけど年齢不詳

卒論のネタは、<The Film Industry & Urban Regeneration in Glasgow>訳して、<グラスゴーにおける映画産業と都市復興の関係>を探ったもの。ジョンのレポートには、映画「素晴らしき哉、人生!」におけるコミュニティー(地域社会)の在り方を現代社会に置き換え、どのように機能するかを実践的に綴ったものがあり、それもあって私の指導教官になった筈なのに、最後迄「Kのリサーチとはリンクしないしさ」と恥ずかしがって上記レポートは読ませてくれなかった。論文掲載etcされていない為、彼にお願いして読むしかないのに。ほんとに研究者らしくない。

スコティッシュ映画が大ブレイクしたのは、ダニー・ボイルが監督した「シャロウ・グレイブ」と「トレインスポッティング」の世界的ヒットがきっかけ。にわかに注目を浴び、現地製作映画の繁栄のみならず、世界中からスコットランドへロケにやってくるようになった。メインは「ハリーポッター」シリーズのようにハイランドの雄大な風景を求めてやってくるけれど、グラスゴーの歴史/廃退/近未来的な雰囲気がごっちゃになった環境を気に入ってやってくる製作者も多い(ジョージ・クルーニーとスティーブン・ソダーバーグの「ジャケット」etc)。グラスゴーに本拠地を置くプロダクション、技術者の数はスコットランド内じゃ群を抜いていて、公的に映画制作を支援するScottish ScreenGlasgow Film OfficeBBC Scotlandというメディアスペースもグラスゴーの街中に集まっている。そんな所から、映画制作によりグラスゴーにもたらされる恵みを計ろうというのが狙いだったんです。その為にはハリウッド映画、イギリス政策がスコットランド映画産業に及ぼす影響から知らなければならず、いい勉強にはなったけれど範囲が膨大すぎて(ハリウッド史とか)気が狂いそうになりましたね。

そんな思いをして完成させた論文や、面白いと思った映画産業(裏)話について、これから時間をみつけて綴っていきたいです(ほんとにやるぞ!)。去る6日は私の誕生日だったけれど(もう誕生日が嬉しい年頃じゃなくて)、良いプレゼントが届いた気がします☆

 


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coco030705

Happy Birthday to You!
そして、論文合格おめでとうございます!
すごいですね。パソコンと論文の一部の写真が、蟻銀さんの努力のほどを
目に見せくれました。すばらしい。ぜひ、論文の内容を(かみくだいて)
ブログ掲載してください。もちろん、裏話もまってますよ~~(^^)
by coco030705 (2006-11-12 21:25) 

lucksun

卒論合格&お誕生日おめでとうございます!
蟻銀さんの卒論テーマ、興味深いですね。
研究した成果が今後活かされることを期待しています。
機会があったら、ぜひブログで一部でも紹介してくださいねー。
それにしてもスコティッシュ映画が大ブレイクしたのが
ダニー・ボイル以後だったとは、わりと最近の話でちょっと驚きました。
by lucksun (2006-11-12 23:55) 

敏 悌次

遅ればせながら、お誕生日お目出度うございます。
誕生日は何歳になっても祝って貰うのは良いものです。
「一万人の第九」の仲間のSさんが昨日の日曜日に
「今日はオヤジの誕生日だから、早く帰れっておふくろが言うねん」と
言うから「何歳の誕生日?」と聞いたら「94歳、おふくろは91歳」って言ってました。例えが一寸極端でしたかね。(笑)

同時に卒論合格の通知が来て良かったですね。お目出度うございます。
私は専門的なことは分かりませんが、大変貴重な経験をされて
良いスキルを持っておられる訳だから、今後それらが生かせると良いですね。
by 敏 悌次 (2006-11-13 17:33) 

ange

☆お誕生日おめでとうございます。☆
そして卒論合格!おめでとうございます。すごいですね!
論文の記事、そして映画産業(裏)話を楽しみにしていま~す。
※(参照)の会話面白いですね(笑)
by ange (2006-11-13 22:37) 

クリス

皆さん、nice!にコメントをありがとうございまーす♪誕生日のコメントもありがとうございます m(_ _)m

>cocoさん
裏話といえるかどうかわかりませんが、なかなか知ることのない映画産業のからくりとか、あの映画がそうやったんやみたいなのが載せられたらイイなぁと。スコットランド中心になっちゃうから、地味かもしれませんが・・・。

>lucksunさん
そうですねぇ、「トレスポ」以前と以降でガラリと変わりますね。その前も佳作映画はありますが、あれ程のヒット作は残念ながらありません。そして今もはやり、スコットランドという立場の弱い国の性質上、なかなか思いっきり映画制作をやらせてもらえない状況にあったりします。中身が良くても興行があんまりだったり(ケン・ローチ映画とか)。もっと皆さんに知って頂きたいし、後続記事を楽しみにしてて下さいね~。

>宝塚さん
そうですねぇ、私も90歳超えてしまえば、逆にそれは年をとるのが幸せに感じるかもしれませんねぇ。少し前迄は確実に感じていた、誕生日に対しての無条件の喜びやウキウキした感情が、2、3年前くらいから持てなくなってしまいましたー。
これから、このスキルが生かせるような将来をみつけたいとは思うのですが、模索中ですね。いつまでたっても行動の伴わない悩みは、いけないと思うんですが・・・・・・。

>angeさん
お祝い、ありがとうございまーす☆
(参照)の会話、可笑しいですよねぇ。とてもとても大学の先生とは思えないんですが・・・。でも、変に先生やからとか意識せずにすんで逆に良かったなぁって今は心から思ってますね。
by クリス (2006-11-15 00:22) 

berry

遅れちゃいました。
お誕生日オメデトウ♪卒論合格もおめでとう♪
英語のレポート、論文、それがどんなに大変かわかります。英語的論文でなければならない。それを若者がとっても苦労してたから。
スコットランドのとある町、殺風景な風景が何とも言えない雰囲気。(笑)
by berry (2006-11-15 17:25) 

クリス

berryさん、こちらにもnice!とコメントをありがとうございます♪
英語の論文って日本版とは形式が違って、なかなか納得いくものが書けなかったけど、慣れてくると理解しやすくて(日本の渦巻状に議論が簡潔しないものよりも)、経済の本なんかは英語で読んだほうが解りやすいような気がします(特に苦手な分野なんで・・・)
6月にスコットランドに又行けたらなぁって思ってます。次は父親を連れて行きたいですね。
by クリス (2006-11-19 01:07) 

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