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ボーン・アイデンティティー (2002)US/Germany/Czech Republic <The Bourne Identity> [film reviews]

この作品を観て、不覚にもマット・デイモンを格好イイなと思ってしまった(ファンの方、スイマセン)。私にとっては、悪くはないけれど心の琴線に触れない役者の代表>マット ともいえたのに、『ボーン・アイデンティティ』の彼は、普通っぽさの陰に過去を失った孤独をにじませ、放っておけない無垢さと、超人的な戦闘能力を持つアンバランスさにそそられました。『スパイダーマン』のトビー、『バッドマン・ビギンズ』のクリスチャン・ベールらと共に、一役者としても魅力ある彼らがアクションやヒーローものに参加すると、満たされる度合いが一段あがりますね。

意識不明なまま洋上より引き上げられた、名前さえ思い出せない工作員。彼自身はある組織の工作員ということも覚えておらず、身元の唯一の手掛かりはスイス銀行の口座。身に染みついている戦闘能力に彼自身戸惑いつつも、暗殺者たちに狙われはじめた彼は、マリーの協力のもとパリへと向かう。

この作品、え?あのマットがアクション映画?という不安交じりな意外性を突いたキャスティングが実は冴えていた。知的に脱出を試みるジェイソン(彼の名)はハーバード中退なマット自身のインテリさと相まっているし、マットならアクションヒーローなイメージがない為、彼のアイデンティティー探しに素直に食いついていける。ただ、マットの格闘シーンはカメラのぐるぐる廻し>ごまかしアングルもあって、アクションファンは「ちゃんと観せろよ!」と感じただろう。

アクションに期待すると裏切られる作品かもしれないが、パリを舞台にしてハリウッド的ドンパチをやられても、街の魅力は伝わらない。『RONIN』がイマイチだった原因の一つは、ハリウッドスタイルをそのままパリに持ち込んだせいじゃないかと思う。今作のような無駄にアクションしない作り、むやみやたらに走らない計画的なカーチェイスは、パリの風格を保つことに計らずも貢献し、作品の質をあげる効果もあった。

ジェイソンに協力するマリーも、住む家も失いアメリカ行きのビザも下りず、居場所をなくしていた。過去については多く語られないが、ジプシーのような暮らしをしてきた彼女もまた、自身の存在理由をジェイソンにみいだしていた気がしてならない。ジェイソンが、唯一の知り合いと呼べる彼女と離れがたかったように。

原作が同じ、1980年代の作品も機会があったら観たいなぁ。

 

ボーン・アイデンティティー スペシャル・エディション

 ボーン・アイデンティティー スペシャル・エディション

  • 出版社/メーカー: ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
  • 発売日: 2005/01/28
  • メディア: DVD
 
マリー役のフランカ・ポテンテ出世作。ローラが彼氏を助ける為に、驚く程走っちゃいます。テクノな音楽やアニメーションづかいが斬新だったっけ。
ラン・ローラ・ラン

 

ラン・ローラ・ラン

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2004/01/21
  • メディア: DVD

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コメント 8

ken

この作品、僕はまずタイトルが好きです。
主人公の名前【Bourne】は【born】に引っ掛けられてますよね。
単純だけど巧いなあと思いました。
by ken (2007-02-10 10:48) 

クリス

私は最初、ボーンは誕生だと思っていて、観ているうちに苗字だったって知りました。三作目も撮影中やし、二作目もはやく借りてこなきゃー。nice!ありがとうございました♪
by クリス (2007-02-10 16:10) 

Catcat44

こんばんわ!
私も、これ見て、うっかりマット・デイモンがカッコイイと思ってしまった一人です(笑)
元工作員と思わせるだけの体術にも、ホントにそうかも・・・なんて思いながら見てました。
「ボーン・スプレマシー」も見ました。オープニングから・・・
今年の夏だったかな、3が米公開されるんじゃなかったかしら。
日本での公開が楽しみな1本です。
by Catcat44 (2007-02-10 22:44) 

coco030705

おじゃましまーす。
私も蟻銀さん、↑のLICCAさん同様、マット・デイモンってひょっとして
かっこいいかも!って思っちゃった1人です。(^^)
これ以来、マットの映画はなかなかおもしろく見れています。
ちなみに、「リプリー」は私の中では最悪でした。
蟻銀さんはどう思われますか。
by coco030705 (2007-02-11 00:48) 

クリス

LICCAさん、こんにちは~♪nice!をありがとうございました。
そうなんですよね、うっかりですよ、ほんとに(笑)
「ボーン・スプレマシー」は今夜、忘れずに借りてきたいと思います。「ディパーテッド」よりずっとスタイリッシュでしたよねー。

cocoさん、こちらにもコメント&nice!をありがとうございます♪
マット萌えな女子多しですね(笑)まぁ、このシリーズ限定なんですけど・・・。「リプリー」は気持ちの悪い終わり方をしましたよね。あの頃のジュードがとても好きだったんで、ジュードがいなくなってからはもっさい雰囲気漂いまくってました。「太陽がいっぱい」がやっぱり良いです。ドロン最高ですもん。
by クリス (2007-02-12 14:00) 

ange

こんばんは。
私も、全く同じ(^.^;  で、これまでマットに全く興味なしでした。
でも、このシリーズを見て、かっこいいじゃない!~と思ってしまいました。
アクションが似合わなさそうなところがかえって良かったのでしょうか。
・・次作があるらしいので楽しみにしています。
by ange (2007-02-12 23:16) 

なはは
私も同感ですよ。イマイチマット好きじゃなかったのだが、本作の彼はイイ感じなのですよ。
ちなみに、私も未だ『スプレマシー』観ていないので、とりあえず『3』が来る前に観ておこうかなと。
by (2007-02-13 23:51) 

クリス

トチオさん、こんにちは~♪nice!、ありがとうございます!
マットってもっさい印象があったけど、マット・ボーンの良さはなんなんでしょうねぇ。マットもうまくキャリアアップしてますね。親友ベンとは対照的に(苦笑)
「スプレマシー」も観ましたよ☆トチオさんの感想も楽しみにしてます。
by クリス (2007-02-14 11:17) 

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