ドンファン (1995) US <Don Juan Demarco> [film reviews]
ジョニー・デップが『ブレイブ』を監督した時に、あるライターが「デップの作品選びには定評があったけれど、自ら監督した今作は失敗してしまったよう」という批評を書いていたことをよく覚えています。この人のいうデップ作とは1997年以前ということになり、『ドンファン』も入っています。実は今作を観る前は、こんな変な設定(=現代社会にスペインの貴公子ドンファンが蘇る)の映画、ほぼ駄作と決めかかっていたけれど、上記ライターの批評も気になっていました。結果、今作は不思議なほどイケてる映画といわざるおえません。ジョニデ、やっぱりやるなぁ。
死に場所を求めてNYにやってきたドン・ファン。彼の自殺未遂を止めた精神科医のブランドは、彼の病院にドン・ファンを連れて帰ることに。甘い雰囲気にとろける看護婦たち。引退寸前だったブランドも又、彼のセラピーを担当するうちにすっかり魅了され、妻にバラを贈るほどのロマンチストになってしまう。しかしドン・ファンは、実は"平凡なアリゾナの青年"という報告が院長からあり、幻想を打ち砕かれる---
メルヘンチックな雰囲気と相性ばっちりのジョニデもさることながら、今作のマーロン・ブランドの、観客を良い方向に裏切るコミカルさに心が躍る。実質的な彼の遺作はデ・ニーロやエドワード・ノートンと競演した『スコア』になるのかな?あれは2001年の作品だったけれど、あの頃の彼はもう巨大すぎる図体を操ることもままならず、三世代演技派の競演なんて巷じゃいわれていたけれど、とても直視可能な姿じゃなかった。その6年前のマーロンとはいえ、もしかしたら鈍い姿しか観られないんじゃないかという不安が心のどこかにあったけれど、ドン・ファンに感化され、愛の深みにハマっていくブランドの、フェイ・ダナウェイ演じる妻への愛情いっぱいの小細工に心がほっこり。
ブランドが亡くなった年は、ロンドンにいた。夕方、家に帰るバスに乗っていて、いつものようにBBCラジオを聞いていたら彼の死を伝えるニュースが耳に飛び込んだ。向こうは私のことなんてこれっぽっちも知らないけれど、ボコボコと沸騰する気泡のように悲しみが込み上げてきたっけ。扱いづらい気むずかしい面がなければ、晩年にもっと良い作品をいっぱい残せたかもしれないけれど、その強烈な個性がスクリーン上においては他を圧倒していたことは、いまさらいう迄もないかもしれない。
◇監督:ジェレミー・レヴェン <Jeremy Leven> ◇脚本:ジェレミー・レヴェン <Jeremy Leven> ◇撮影:ラルフ・D・ボード <Ralf D. Bode> ◇音楽:マイケル・ケイメン <Michael Kamen> ◇出演:マーロン・ブランド <Marlon Brando> ジョニー・デップ <Johnny Depp> フェイ・ダナウェイ <Faye Dunaway> ジェラルディン・ぺラス <Geraldine Pailhas> ボブ・ディッシー <Bob Dishy> レイチェル・ティこティン <Rachel Ticotin> タリサ・ソト <Talisa Soto>
こんばんは、お邪魔します。
>こんな変な設定(=現代社会にスペインの貴公子ドンファンが蘇る)の映画、ほぼ駄作と決めかかっていた・・・
私も、実際に観るまでは、うーん、怪しいなと思ってましたけど、思いのほか、面白かった記憶があります。
ハッキリと覚えてないんで、また見直してみたいなと思いました。
by u_yasu (2007-10-03 22:29)
目張りが凄かった、印象しか残っていませんが、
彼しか出来ない役だと思います。
by 江戸うっどスキー (2007-10-04 00:11)
u_yasuさん、お久しぶりですね。
そうなんですよ、けっこう変なの~って思って観てたら、ほかほかした気持ちになって得した気分です♪nice!をありがとうございます。
江戸うっどスキーさん、こんばんは。nice!をありがとうございます。
ジョニデはやっぱり良いんですが、あえてブランドにあの役をやらせた製作人にお礼をいいたいですね。
by クリス (2007-10-04 00:23)