アンチクライスト (2009) Denmark | Germany | France | Sweden | Italy | Poland <Antichrist> [film reviews]
残酷かつエグい映像とはなしの連続か…と躊躇しながらも、監督への信頼度によって観ることを決めた今作。なのに、恐怖感をあおるサウンドと共に、スクリーンいっぱいに表れた "Antichrist" という手書き文字を観て、「やばい、帰りたい。」と思ってしまいました。途中、顔を覆ってしまったことも、1度や2度じゃありません。言葉にするよりも、痛くて、苦しすぎる作品でした。
愛し合っているさなか、目をはなしていたすきに最愛の息子がマンションから転落死してしまったある夫婦。深い悲しみと自責の念を抱え、妻は次第に精神を病んでいく。セラピストの夫は、愛する妻の治療をはじめる。妻が抱える大きな恐怖に、「自然」をみつけたことから、彼女を人里はなれた森の中にある山小屋へ連れて行く。妻を救うべく、懸命に心理療法を施すが…。
その作風が意図することが、掴めきれない、または解釈の幅の広い作品でもありました。キーになると感じたのは、この作品がロシアの巨匠アンドレイ・タルコフスキー監督に捧げられていることと、"悪魔" の考えかた。タルコフスキー監督の作品は『惑星ソラリス』しか観ていないけれど、叙情的な自然描写を今作もとり入れていることから、そこからきたものかもしれません。
そして、"悪魔" の考えかた。煩悩や邪心などを象徴する、超自然的なこ存在のこと、キリスト教においては人格的な悪魔の存在も認識されています。息子を失った母が陥った煩悩は、アブノーマルな性への執拗な執着だった気がします。それが、3章、4章にある残酷描写に繋がるんだろうけど、いくらそれらを理解したとしても、2度と観たい作品じゃないし、おすすめはしません。
◇監督:ラース・フォン・トリアー 『ドッグヴィル』、『マンダレイ』
◇出演:シャルロット・ゲンズブール 『なまいきシャルロット』、『ぼくの妻はシャルロット・ゲンズブール』
ウィリアム・デフォー 『天国の門』、『バスキア』
ストルム・アヘシェ・サルストロ 『アンチクライスト』
二度と見たくないほど心象風景に影響を及ぼす作品ですか…。見たいとは思いませんが、そういう作品も必要なのでしょうね。。。
by yukikaze (2011-04-06 16:27)
必要かどうかが、イマイチみえない作品でした。
単に、どこまで許されるのか、世の中に逆らってみたというような。。。
nice!をありがとうございます。
by クリス (2011-04-07 22:48)