トム・ジョーンズの華麗な冒険 (1963) UK <Tom Jones> [film reviews]
正直、アカデミー賞作品、監督、脚色、音楽を獲るほどの作品とは思えなかったけれど、トム・ジョーンズの冒険活劇としては、たのしめました。なにより、美男子というよりは好男子だった(ときに女性の敵、けれど憎めない!)アルバート・フィーニーの笑顔に、やられました。ユアン(マクレガー)を彷彿させるんですよね。『ビック・フィッシュ』の配役に、今更ながら納得でした。
18世紀のイギリス。田舎の大地主オールワーシー家の主のベットに、謎の赤子が寝かされていた。子供の父母は召使いたちだったが、主は赤子を養子とした。大人になったトム・ジョーンズは、自由奔放に生きる一方、勇敢さや優しさを併せ持っていた。女にだらしないながらも、近くの地主の娘ソフィと愛し合うようになるが、トムを嫌う者たちの策略により家を出されてしまう。
この冒険活劇には、トムの生まれから青年へと成長し、経験したあらゆる事件(!)がギュッと詰まっています。駄長にならずにコミカルさを保った背景には、シーンを繋ぐ映像処理に工夫の跡がいくつも観られました。たとえば、トムの養父が家に戻って右のドアに入り、左のドアから出たときには寝間着を着ている…とか。コマ送りを早くして、トムの悪行を軽くみせる役割も。
そして、アルバート・フィーニーという役者。老いた彼の、どちらかというと重厚な演技しか観たことなかったけれど、若い頃の人懐こい笑顔と、嫉妬から敵を作りながらも、誰からも愛されるトムというキャラはとても合っていたなぁ。実は、彼とユアンが繋がるように、マイケル・ケインの若い頃とジュード・ロウも、繋がると思っていたんですよね。役者のはやりも、繰り返すのかな?
◇監督:トニー・リチャードソン 『ハムレット』、『ホテル・ニューハンプシャー』
◇出演:アルバート・フィーニー 『土曜の夜と日曜の朝』、『勝利者』
スザンナ・ヨーク 『わが命尽きるとも』、『ジェーン・エア』
ヒュー・グリフィス 『三文オペラ』、『ベン・ハー』
ジョーン・グリーンウッド 『しのび逢い』、『女優志願』
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