ペーパーバード 幸せは翼にのって(2010) Spain <Pájaros de papel> [film reviews]
スペイン内戦下のマドリッド。喜劇役者のホルヘは最愛の妻と息子を爆撃で失い、絶望とともに姿を消す。1年後、内戦は終結し、ホルヘは内戦で両親を失った少年ミゲルと暮らす相方のエンリケと再会する。亡くなった息子を思い出し、どうしてもミゲルに冷たくあたるホルヘだったが、芸を教えてもらうため健気につきまとうミゲルに次第にほだされ、3人は再び舞台へ立つが…。
戦争は、悲惨かつ無残な状況を生むけれど、内戦という同胞同志が敵対し凶器を向け合う戦いは、より哀しみを帯びています。思想のちがいが受け入れられず、同胞に愛する家族を殺される。そんなことがあちらこちらで起こっていたことを、自分の身近なものに置きかえて考えると恐ろしい。突然、愛する者たちを隣人に奪われた者たちがどう生きるか?が今作の焦点です。
ホルヘは、芸の人生を全うしようとします。それはまるで、愛する妻子なんていなかったかのように芸に打ち込みます。 一方、母を失ったミゲルはまだまだ子供。失った母の代わりを求め、そしてなんとかして生きる糧を得ようとミゲルやエンリケの元を離れず芸に打ち込みます。そんな彼らの舞台は人々の癒しとなり、ホルヘたちは混沌の中にも生きる理由をみつけていく。
しかし神は、彼らに新たな試練を与えます。胸を射る別れはあっけなく、突然やってきます。唯一の救いは、さまざまな困難と不条理を乗り越えたミゲル少年の大人になった姿です。彼が熟練の芸で観客を湧かせるとき、そこにはホルヘ が生きていた証がありました。決して楽な人生じゃなかったけれど、刻まれたシワにはすべてを受け入れてきた包容力が感じられました。
◇監督:エミリオ・アラゴン 『ペーパーバード 幸せは翼にのって』
◇出演:イマノール・アリアス 『セクシリア』、『カミール』
ルイス・オマール 『抱擁のかけら』、『ロスト・アイズ』
ロジェール・プリンセプ 『永遠のこどもたち』
カルメン・マチ 『抱擁のかけら』
地味ですがいい映画でした。前半は割と淡々としていますが、良かったです。
後半はなかなか哀しい展開になります。
ラスト近くはハラハラしますが、、その結末は。。
監督自身が担当した音楽が良かったですね。
俳優はみないいですが、子役もうまかったです。
ラストが良かったです。カーテンコールみたいで。
ラストに登場する老人役は監督の父ミリキ・アラゴン。
国民的なサーカス芸人だそうです。
この映画も沢木耕太郎の映画評「銀の街から」で取り上げていました。
http://doraku.asahi.com/entertainment/movie/review/110720_2.html
by きさ (2011-12-26 23:28)
突然で申しわけありません。
現在2011年の映画ベストテンを選ぶ企画「日本インターネット映画大賞」を開催中です。
投票は1/19(木)締切。
ふるってご参加いただくようよろしくお願いいたします。
なお、twitterも開設しましたので、フォローいただければ最新情報等配信する予定です。
by 日本インターネット映画大賞 (2011-12-27 17:17)
きささん、
あけまして、おめでとうございます。
いちばん最後の舞台が、なんともいえず感慨深かったですね。
by クリス (2012-01-01 09:58)