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ファニー・ゲームU.S.A. (2007) US/ France/ UK/ Austria/ Germany/ Italy <Funny Games U.S.> [film reviews]

   東京からロンドンのフライトは約12時間。映画を観たり寝たりしているとあっという間に感じるけれど、父は大丈夫かなと気にかかっていました。しかしそこはやっぱり血が繋がっていますね(笑)、美味しい機内食やモーツアルトやバッハが聴ける環境が、とても快適だったとか。懸念した父のはじめての海外フライトは、あっという間にすぎていきました。やっぱり親子だなぁ(笑)

   避暑地にある自己所有の別荘にきたアン一家。裕福かつ幸せな日々を送っていたが、別荘に到着すると、ある知人から身なりのきちんとした青年を紹介される。まもなく、その青年(ピーター)の連れだというジョージが卵を借りにやってくる。次第に挑発的な態度になるジョージに不快感を感じるアンだったが、それはその後に続く悪夢のほんの序章にすぎなかった。

   機内鑑賞映画1作目。今作の元ネタは、ミヒャエル監督が作った『ファニーゲーム』(1997)。カンヌへ出品した際、あまりの不快感に途中退席する人が続出した、いわくつきの作品です。たしかに、この不快感はヤバい。ヤバいけれど、かといって途中退席したって気分の悪いままだと思います。最後迄観たって、結局気持ちは晴れないけれど。

   [Funny]には、オモシロイ、可笑しいという意味と共に、不可解な、妙な、といった意味があります。[funny ha-ha]といって、可笑しいの意を表す言葉もありますが、今作が[funny ha-ha]だと思って観てしまうととても危険です。きっと、ピーターたちにとっては可笑しい[Funny]だし、オーディエンスやアン一家にとっては不可解な[Funny]なんだと。

   暴力そのものが本来が持つバイオレンス性(という書き方をするとおかしいけれど)を、フィルターなく暴ききった作品、といったらいいのか。例えば、憎悪、復讐、怨恨からくる暴力、はたまた正義、道徳、戦争からくる暴力というのは、シチュエーションや描き方如何によってはそれが致し方なく思えたり、時に正義に映ったりもします。

   しかし今作の青年二人がアン一家に振るう暴力については、どんなエクスキューズも通じない理不尽さ、しかありません。よって、そこにある「暴力」のみがクローズアップされて映り、オーディエンスは「暴力」のタダならぬ不快感に苛まれるしかない。ある意味、勇気ある選択、勇気ある作品づくりだったかもしれません。監督をはじめ、プロデューサーも含めて。

   監督の『ピアニスト』、『隠された記憶』は好きな私も、コレは二度とは観れない気が。「暴力」を再認識する為や、問題意識を持って観るには良いかもしれないけれど、フツーに映画を楽しみたい方にはおススめしません。ナオミ・ワッツの悲愴な叫びも痛いし。『リング』から?、泣き叫ぶ彼女をよく観るし、次は『鳥』のリメイク?とか。タイプキャストにならないように・・・。

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◇監督:ミヒャエル・ハネケ 『ピアニスト』、『隠された記憶』
◇脚本:ミヒャエル・ハネケ
◇撮影:ダリウス・コンジ 『セブン』、『僕のニューヨークライフ』
◇編集:ケヴィン・トンプソン 『54』、『フィクサー』   

◇出演:ナオミ・ワッツ 『マルホランド・ドライブ』、『21グラム』
     ティム・ロス 『素肌の涙』、『アメリカ、家族のいる風景』
         マイケル・ピット 『小説家をみつけたら』、『ヴィレッジ』
         ブラディ・コーベット 『サンダーバード』、『ファニー・ゲームズU.S』
     デヴォン・ギアハート 『ファニー・ゲームズU.S』


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トチオ

オリジナルも未見なんで共々観てみたいです。内容は聞き及んでるけど、不快感抜群ですか。
by トチオ (2008-07-14 00:58) 

クリス

トチオさん、
私もオリジナル観たいけれど・・・。なんかよっぽど元気なときじゃないと無理っぽいですよ。
nice!をありがとうございます。
by クリス (2008-07-19 09:45) 

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