浮雲 (1955) Japan <Ukigumo> [film reviews]
社内にて、1年3か月振りに席替えがありました。大幅なレイアウト変更もあったため、(金)は夜の10迄バタバタしていたとか。私は試写会があって、「いつの間にか消えた!」といわれていたらしいです(笑)
新しい席には、気持ちも新たに着きたいと思います。
不況なんかに負けるなー!
「花の命は短くて苦しきことのみ多かりき」という名句を生んだ、林芙美子の小説「浮雲」を成瀬巳喜男が映画化。
成瀬作品ははじめての鑑賞となりましたが、小津監督に比べると主役たちとの距離感が近い。その割に、転落していく女性の姿を、冷静にみつめる落着きさもあります。
不思議だ。
戦時中、インドシナに赴任していたゆき子は、妻ある富岡と愛し合う。妻と別れて君と待つという彼の言葉を信じ会いに行くが、彼の態度ははっきりしない。
ゆき子にとっては、彼の言葉がすべてだったのかもしれません。ただその言葉は、作中において、富岡の口から聞かれることはありません。監督は、わざと抜いたとしか思えない。そしてその意図は、富岡にはさらさらその気はなかったということ。
それなのにダメなオトコを愛してしまったゆき子は、コロコロとゆるやかに転落していく人生を歩みます。時に気丈にふるまい、時にわがままなお願いをし、時に少女のように涙もこぼしながらも富岡とのくされ縁を切れずに、とうとう屋久島に迄ついていってしまいます。
最近、映画を観ていると、「これ、○○に似てるな」って思うことがよくあるんですが、今作のラストは『道』(1953年)のザンパノを彷彿させました。
国籍もちがう、文化もちがう遥か遠い国同士(イタリア、日本)なのに、ダメ男の姿というのは万国共通なのかもしれません。
- 出版社/メーカー: 東宝ビデオ
- メディア: DVD
◇監督:成瀬巳喜男 『あにいもうと』、『乱れ雲』
◇出演:高峰秀子 『女の園』、『喜びも悲しみも幾歳月』
森雅之 『おとうと』、『連合艦隊司令長官 山本五十六』
中北千枝子 『或る剣豪の生涯』、『ニッポン無責任野郎』
岡田茉莉子 『人間の証明』、『マルサの女』
この映画20年くらい前に観たのですが内容を忘れてしまっていました。でも記事を拝見して何となくイメージが思い出されてきました。私には少々重い印象があったように思います。
『道』と似ていましたか…。フェリーニの映画は『道』や『カビリアの夜』など大好きです。
by おぉ!次郎 (2009-04-14 05:23)
20年も前ですか。
女性から観ると、とてもとても重かったです。普段は気丈に振る舞うゆき子が、不憫でなりませんでした。「道」に似ていたというより、ザンパノとか「ギター弾きの恋」のショーン・ペンとかを代表するダメオが、失ってから気づくたいせつなもの・・・という感覚を思い出したんです。
nice!をありがとうございました。
by クリス (2009-04-14 23:09)
近年、カリフォルニア州でも成瀬巳喜男特集上映がありました。
by サンフランシスコ人 (2009-04-26 02:30)
成瀬もこれから、開拓したいなと思います。
海外でも日本映画が上映されているのってうれしいですね。
ちなみに、会社の仲良しが10月にサンフランシスコのマラソンに参加しまーす。
by クリス (2009-04-26 18:22)