めまい (1958) USA <Vertigo> [film reviews]
久し振りのヒッチコック作品。彼の数ある作品中、いちばん好きなのは『北北西に進路をとれ』か『裏窓』かも。古典サスペンス、かつ現代のようなCGがない中、技術や知恵、そして演出によってスリル感を出し、それらの小細工がキラリとひかる名作だったからです。しかし今作は、思いがけず、それほど楽しめませんでした。スリル感に欠けていた…というのが正直な感想です。
刑事だったジョンは、高所恐怖症が仇となって同僚を墜落死させてしまい、今は退職していた。ある日、昔の友人ケビンから連絡があり、彼の妻を尾行して欲しいという。美しい妻マドレイヌがときどき、狂って自殺した祖父母のことを口走っては、夢遊病者のように不可解な徘徊をするという。彼女の自殺をジョンが止めたことから2人の距離は近づき、やがて恋に落ちていく…。
今作は、前篇・後編のような作りをしています。学友の妻の尾行、そして彼女に似た女性との出会い。刑事だったジョンの高所恐怖症からはじまった精神的な病みについては、前篇・後編(もし言うならば)と一貫した作りが感じられたものの、重要な相手役、キム・ノヴァクの人物像に現実味がなく、またヒッチコックが好んだ女優たちほどに、美しさが感じられなかったのも事実。
精神的な混乱を描写するため、手作り感いっぱいの非現実的な描写も出てきたりしましたが(いわゆる、今ならCGと呼ぶもの!?)、観ているこちらがいい感じに錯乱するほどの深みはなく、トリックもストーリーの中盤に明かしてしまっているせいか、最後は全然ノレなかったです。それにしても、ヒッチコックは監督作が多いですね。まだまだ、観ていきたい作品がいっぱいあります。
◇監督:アルフレッド・ヒッチコック 『サイコ』、『見知らぬ乗客』
◇出演:ジェームズ・スチュワート 『フィラデルフィア物語』、『ロープ』
キム・ノヴァク 『愛情物語』、『媚薬』
バーバラ・べル・デベス 『月下の銃声』、『暗黒の恐怖』
ヒッチコック作品で好きなものはたくさんありますが、ベスト3は「裏窓」とイギリス時代の「バルカン超特急」で3本目をいつも迷います。
「めまい」はスリルよりは実は存在しない幻の美女への執着というテーマが異色で、ヒッチで一番好きという人もいますね。
私もベストではないですが、好きです。
ただ今見るとテンポはちょっとゆっくりかな。
by きさ (2011-01-23 10:38)
テレビでしか観たことがありませんが、『北北西に進路をとれ』の飛行機の
場面は凄かったですね。
ヒッチコック自身が必ずどこかでちらっと出ているっていうのも面白いですよね。
by kuwachan (2011-01-23 11:24)
『裏窓』は私も好きです。主人公が少しもうごけないっていう、常識を逆手にとった設定の、なんと素晴らしいことか! 今作は、主人公の深層心理の描きかたに、少し不満が残りました。nice!をありがとうございます。
kuwachanさん、
『北北西~』も大好きな一作です。そうそう、ヒッチコック探しもたのしいんですよね。
気がゆるんだときに、ひょいっと出てきたりして。nice!をありがとうございます。
by クリス (2011-01-24 22:29)
ヒッチコックいいですよね。
いちばん好きなのは「裏窓」かな。
「ハリーの災難」「北北西~~」も好きです。
「めまい」はわりと最近、テレビでやっていたので久々に観ましたけど、
手作り感満載で逆に新鮮な感じがしました。
by lucksun (2011-01-25 01:34)