Cinépanorama (1960) Italy : Episode dated 19 March 1960 [film reviews]
このドキュメンタリーは、ローマから東京に帰る際の機内にて観ました。アリタリア航空の映画ラインナップはイマイチだったけれど、さすがにイタリア映画は数が揃っていてワクワクしました。けれど、欠点は、英語字幕ってTVモニターじゃ追いづらいんですよね。小さい上に画像が荒くて。このドキュメンタリーも、繰り返し巻き戻して観ていました。フェリーニの言葉の、1つ1つを。
フェリーニが『甘い生活』を撮っていたときに、その現場に潜入しながら作ったものです。既に、『道』や『カリビアの夜』でオスカーを受賞しており、『甘い生活』もカンヌグランプリに輝くのですが、フェリーニは今作のレポーターに対してとても気さくに受けこたえしていきます。イタリア人らしい陽気さと、いたずら小僧的な好奇心をいっぱいにして…です。目立つことも、好きらしい。
生まれ故郷、リミニについても語っていました。ロマーニャ州にあるこの小さな街に、1920年に生まれたフェデリコ少年は、とても空想好きな少年だったとか。得意の空想によって故郷を作り上げてしまった彼は、現実のリミニが真実として受け入れられなくなったと言っていました。亡くなった今は妻ジュリエッタと共にリミニに眠る彼ですが、どんなことを感じているのかな…。
一度だけ、『甘い生活』を象徴する有名なシーン、トレヴィの泉にシルヴィアとマルチェロ(共に役名)が入っていく撮影が近づくと、少しだけ、フェリーニが神経を尖らせたようにみえた映像がありました。この世に存在する最高美を前にして、手が届くようで届かない、甘い生活とは?を自問自答する日々を送るマルチェロの現状を、一瞬にして気づかせる重要なシーンでした。
また、演技をしていないマルチェロがみれたのも、嬉しかったです。フェリーニは彼のことをこよなく愛し、使いやすい俳優だと絶賛しています。いいアイデアが浮かぶと、いきつけのカフェからマルチェロにデンワし、よく呼びだしてはアイデアを彼にはなしていたとか。どんな賞を獲ってもマエストロと呼ばれても、フェリーニは幾つになっても空想好きな少年なんですよね。
◇出演:フェデリコ・フェリーニ
ジュリエッタ・マシーナ
マルチェロ・マストロヤンニ
ソフィア・ローレン
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