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トスカーナの贋作 (2010) France | Italy | Iran <Copie conforme> [film reviews]

   イタリアは南トスカーナ地方の小さな村。贋作について書いた、作家ジェームズの読書会がおこなわれ、ギャラリーの女主人は息子と共に訪れる。作者や本に惹かれるものを感じた女主人はメモを残し、ジェームズはそれをみてギャラリーを訪れる。2人は名所を散策するドライブに繰り出し、カフェの女主人に夫婦と誤解されたのを機に、倦怠期を迎えた夫婦を演じはじめる。

   贋作とは、他者を偽る意図をもって絵画、彫刻、書などの芸術品や工芸品に似せて模倣品を作製すること、またその作品のこと。これに対して、ほんものの作品のことを真作を称します(ウィキより)。贋作の歴史は古く、精巧に作られたものの中には、専門家をしても判断がむずかしいことも。また、その贋作のどれもが、時代を示す特徴を持つ素晴らしい作品ともいえます。

   そして今作です。互いに興味を持ちつつも、カフェの女主人に夫婦と思われたことからニセモノ夫婦になりきります。さいしょはただの "ごっこ" にみえた2人が、よくある夫婦の典型、夫はシゴトに忙しく妻の変化に気づかず、妻は過去のあれこれをよく覚えており、夫をいつも攻め立てる。倦怠期を迎えた夫婦そのものになっていく2人の生々しさは、贋作と真作のあいまいさのよう。

   そんな不思議な2人が、トスカーナの美しい田舎町をねり歩きます。カメラは正面から各人をとらえ、表情の変化、シワの1つ1つをとらえます。倦怠期夫婦のいさかいは、偶然入ったレストランにてピークを迎えます。そして、淋しげなギャラリーの女主人を背にしながら、ジェームズは鏡に向かってなにを思ったのか。小さな希望を感じた気がしたけれど、真相はそれも謎のまま。

Copie_Conforme.jpg

◇監督:アッバス・キアロスタミ 『友達のうちはどこ?』、『白い風船』
◇出演:ジュリエット・ビノッシュ 『トリコロール / 青の愛』、『プロヴァンスの恋』
     ウィリアム・シメル 『トスカーナの贋作』
     ジャン=クロード・カリエール 『欲望のあいまいな対象』(脚本)、『ブリキの太鼓』(脚本)
     アガット・ナタンソン 『トスカーナの贋作』
     ジャンナ・ジャンケッティ 『ふたりのトスカーナ』

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