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預言者 (2009) France | Italy <Un prophète> [film reviews]

   10月20日から東京国際映画祭がはじまりますが、ことしは完全に出遅れました。ラインナップも未チェックだから、もちろんチケットもまだ1枚もとってません。ああ、少し焦らなきゃ。それとは別に、出産準備もはじめなきゃと思ってますが、なにから手をつけたらいいか…。シゴトもあと2か月をきりました。引継ぎもうまくやってるつもりですが…なんか気がかりです。

   アラブ系19歳の青年マリクは、刑に服して刑務所へ送られる。そこは、様々な人種と勢力が入り交じった弱肉強食の世界。孤独なマリクは、最大勢力のコルシカ・マフィアに目をつけられる。さっそくボスのセザールからある人物の殺しを強要され、自分が生き残るためにはじめての殺人に手を染める。セザールの保護下に入った彼は、生き残るるための術を学んでいく。

   2009年カンヌ映画祭グランプリ受賞、フランスのセザール賞は9部門受賞、監督は『真夜中のピアニスト』など実績のあるジャック・オディアール。これだけ作品の質は鉄板と思われる今作が、なぜ日本公開は3年も遅れ、またレイトショー限定の公開だったのか。今作ほど不思議に思う作品は、昨今ありませんでした。今作は、疑う余地のない傑作。ぜひ観て欲しいです。

   刑務所という、狭い世界に身を置くことになったアラブ系マリク。彼が生き残るための術というのは、「強い組織に入ること」、「その組織の中で重要な人物になること」、「アイデンティティは隠すこと、けれど決して失わないこと」でした。身を置く世界はちがっても、会社における処世術そのものと思いながら観ていました。厳しい世界において、共通する術かもしれない。

   一方、マリクが成り上がっていくのと対照的に、コルシカ・マフィアのボス、セザールの存在感が哀愁を帯びてくるという、その対比がドラマを深くしています。トップの新旧交代は、いつの時代もどんな世界にもつきものです。よく考えると今作は、普遍的なテーマを扱いながらもその舞台設定や人物の個性などによって、忘れがたい作品に仕上げていたんですね。
 
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◇監督:ジャック・オーディアール 『リード・マイ・リップス』、『真夜中のピアニスト』

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