ひまわりと子犬の7日間 (2013) Japan <Himawari to Koinu no Nanoka-kan> [film reviews]
妻を早くに亡くし、男手ひとつで2人の小学生を育てる神崎は、働いていた動物園が閉鎖になってからというもの、地元の保健所で働いていた。ある日、母犬と産まれたばかりの子犬たちが保護される。母犬は必死に子犬たちを守ろうとするあまり、人に対する警戒心が強い。引きとり手がなければ殺処分されてしまうこの母子を、母犬の母性に打たれた神崎は、なんとかしてたすけようとする。
山田洋次監督の共同脚本、ならびに助監督をつとめてきた平原恵美子さんの、はじめての監督作品。昨今のペットブーム? に乗って、身近な人たちからペットを飼いはじめたってはなしをよく聴きますが、私自身はいくら可愛いと思ってもペットはいらない派だし、犬猫にスポットをあてて泣かせるような作品は大嫌いなんですが、今作は堺雅人ということもあって、それだけで観てきました。
上記に書いた犬猫映画には枚挙にいとまがありませんが、今作はそれらとは一線を画しています。まず、本作に出てくる主人公と犬とは、飼い主と飼い犬という関係ではなく、保健所を介した就労者と保護犬という、いわばさしたる関係性もない中から、努力に努力を重ねて互いに一目を置く存在となっていきます。いかにして殺さずに済むか、殺されずに済むかという重いテーマでもあります。
この作品は、罪もなく捨てられた犬たちが、少なからず罪の意識を感じる人間たちに殺処分されるという、私たちが直視するべき問題をストレートに描いています。根本的な解決策はみいだせないながらも、人々の意識を変えるという地味なれど同等的な観点から攻めているにも関わらず、説教臭さがないところがいい。堺雅人の宮崎弁も、出身地の言葉だけあって迫真に迫るものがありました。
◇監督:平原恵美子 『武士の一分(いちぶん)』
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