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ペーパーボーイ 真夏の引力 (2012) USA <The Paperboy> [film reviews]

   フロリダ州モート郡。水泳を挫折し地元に戻り、父が経営するローカルな新聞社を手伝う青年ジャック。ある日、大手新聞社に勤める兄ウォードが、保安官殺害事件を調査するために帰省してくる。判決が確定している死刑囚ヒラリーがえん罪ではないかという。兄の取材のため運転手となったジャックは、獄中のヒラリーと文通の末に婚約したという金髪のシャーロットと出会い、心奪われる。

   『プレシャス』のリー・ダニエルズ監督が、ハリウッドの錚々たる顔ぶれを集めて撮った今作。ザック・エフロン、ニコール・キッドマン、マシュー・マコノヒー、ジョン・キューザック。彼ら一人一人が、築き上げた素晴らしいキャリアを犠牲にすることも恐れず、果敢に役に挑戦した作品です。描写は心臓に響くほど強烈でおぞましいシーンもありますが、監督を信頼してのことでしょう。

   年上の女性に恋した、ある青年の一夏の経験と言えば「甘酸っぱい」感情を思い起こさせますが、目標を失い故郷へ戻った青年ジャックの一夏の経験は、彼が愛した人々の本性を目をそむけたくなるほど徹底的に暴き、今後の彼の人生をも決定づけた強烈なものでした。ダークかつ陰湿な内容とその描写によって、本作のimdbによる評価は低いようですが、私自身には深く心に残る作品でした。

   はじめに挙げたように、4人の有名俳優たちの捨て身の怪演には、時に身の毛がよだつほどの不快感を覚えました。同時に、これほどに自身をさらけ出して作品のために表現することを厭わない彼らを、賞賛せずにはいられませんでした。最近は、リメイクに溺れてクリエイティブ性が薄く感じるハリウッドですが、ハリウッドが持ち続ける財産の1つは、素晴らしい俳優のストックだと思います。

   特に、マシュー・マコノヒーは圧巻でした。最近は、ロマコメやアクションなどの娯楽作のイメージが強かった彼の、まったくの別の顔をみせつけられました(覗きたくない一面だったけれど)。『マジック・マイク』といい、彼の役者としての深さを感じずにはいられません。決して好きな俳優じゃないけれど、減量して挑んだという『Dallas Buyers Club』もとても楽しみにしています。

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◇監督:リー・ダニエルズ 『プレシャス』

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