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ペコロスの母に会いに行く (2013) Japan <Pekorosu no Haha ni Aini Iku> [film reviews]

   離婚をきっかけに、息子と故郷長崎へ戻ていた自称・漫画家のゆういち。夫に先立たれたみつえは少しずつ認知症が進みはじめ、同居するゆういちや彼の息子をヤキモキさせていた。悩んだ末、ゆういちはみつえをグループホームへ預けることを決める。個性豊かな入居者たちと暮らしはじめたみつえは、若かりし頃に記憶を遡っていく。そんなみつえに、せっせと会いにいくゆういちだったが…。

   父が認知症になり、いろんな本を読みました。今作の原作も、その時に手にとった一冊です。認知症なんて、ならないに超したことはないかもしれませんが、「ボケることも悪かことばかりじゃない」という今作のみつえさんの言葉にすっと胸が楽になりました。ボケることはお終いじゃなくて、本人も、家族にとっても新しい人生のはじまりです。ちょっとしたことに、喜びが感じられる人生です。

   実際、父の認知症が急に悪化したときは、ほとんど絶望しました。前向きなプラス思考をモットーに生きてきたけれど、母が血液のガンになり緊急手術と入院、娘は産まれてたった三ヶ月ーという状況だったことから、考えることがありすぎて、思考が停止してしまったんだと思います。今は、生きてる限りは諦めちゃいけないって気持ちにもなり、いい先生、いい薬にも出会えて落ち着きましたが。

   そんな想いもあって観た今作は、自然に自分と父とを重ねて観ていました。介護の形は人ぞれぞれですが、感じる痛みや悩みは、家族を想いやる気持ちから生まれており、共通しています。原作にいいエピソードがありすぎて、どう繋げるかは脚本家の腕に掛かっていましたが、原作ファンとしても納得の作品だったと思います。配役は、酒乱で精神を病んだ父を演じた、加瀬亮がハマり役でした。

   今作は、口コミによる評判が広まって、11月16日の公開から今もなお全国各地で上映されています。更に、昨年のキネマ旬報 日本映画ベスト・テン の第一位に選ばれました。数々のメジャー系を抑えた受賞にとても驚きましが、多くのコアなファンが今作を支えた結果だと思います。作品終盤の、めがね橋のシーンは圧巻です。この、愛すべき小作品を、多くの方に観て頂きたいなと心から思います。

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◇監督:森崎 東 『ニワトリはハダシだ』

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coco030705

こんにちは。
題名を見て、外国映画だと思い込んでいたのですが、キネ旬日本映画部門第一位ということで、調べてみたら介護に焦点をあてた作品なんですね。ぜひ観ようと思っています。
クリスさんもご両親のことで色々大変だったことでしょう。でもお嬢さんがきっと明るい未来を連れてきてくださることでしょう。
私も母を完ぺきではないけれども、一生懸命自分なりに充分に介護したと思います。だから今は後悔はありません。
どうぞご自分のお身体を大いに気遣いながら、看病と介護をなさってくださいませ。お願い致します。
by coco030705 (2014-03-05 12:16) 

クリス

そうですね。
いよいようちは三月中旬から同居介護になりますが、夫にはとても感謝しています。いいケアマネさんも、思いのほか楽にみつかりました。四月からは娘は保育園、わたしはシゴト復帰があってバタバタしそうですが、いろいろあったほうが気がまぎれていいかもしれませんね。
わたしも、後悔なく介護したいと思っています。
nice!をありがとうございました。
by クリス (2014-03-05 13:11) 

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